罰ゲーム 前編-2
―――とりあえず、この罰ゲームさえ乗り切ればいい。
一生懸命そう自分に言い聞かせたが、それがどれほど愚かな選択であるか、この時のあいりにはまだわかっていなかった。
「聞いたか?本人がやるっつってんだから三田村も文句ねぇだろ」
坂田が勝ち誇ったようにケラケラと笑い、三田村は言葉を失ってギュッと唇を噛んだ。
「よし!決まりな!」
とうとうあいりにアイマスクが装着された。
視覚を失ったことで、不安感が一気に高まる。
「俺たちも準備するから、ちょーっとここで待っててねぇ」
上野に猫撫で声で言われ無理矢理ソファーに座らされたものの、とてもじっとしていられるような心境ではなかった。
『怖い………。
一体何が始まるの……?』
何かを動かすゴソゴソという物音や、ヒソヒソと耳打ちしあう話し声―――。
真っ暗な世界の中であいりは必死で耳をすまし、三田村の気配を探した。
これから行われる恐怖の罰ゲーム。
今すぐにでも逃げ出したいと思う反面、心のどこかで三田村がそのゲームに参加する可能性を期待している自分がいる。
さっきの王様ゲームでさせられたような行為を三田村とすることになるかもしれない―――。
彼と唇を重ね合わせたり、互いの身体に触れることもあるかもしれない―――。
それを想像するだけで、あいりの身体の芯は熱くとろけてしまうのだった。
『この状況でこんなことを望んでしまうなんて……私って…なんていやらしい女なんだろう………』
あいりは、自分自身のはしたない欲望に思わず頬を赤らめてうつむいた。
――――そしてその時、坂田の粘着質な声がついに恐怖の時間の始まりを告げたのだった。
「じゃあ始めようぜ!―――楽しい『竿当てゲーム』の時間だ!」
「…さ…さお………あて…?」
いやな予感に胸がざわつく。
「ルールは簡単。要は目隠ししたあいりちゃんが、自分の中に誰の竿が入ってるかを当てるゲームってわけ!」
「……さ…おって……?…ま…まさか…」
「ククッ……そんなのきまってんじゃん……」
覚悟はしていたものの、その想像を遥かに上回る過激なゲーム内容に、あいりは耳を疑った。
「ぴったり当たるまで続けるから、よーく感触を味わって考えてねぇ!」
「……いや……いやですっ……!」
慌てて目隠しを外そうとしたところを取り押さえられ、じゅうたんの上に乱暴に押し倒される。
ドスンという大きな音がして、背中に激痛が走った。