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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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黒い魔獣-27

「おぅ、どうだ?その体は?」

『慣れりゃ快適だな。つうか、こっちの方が俺に合ってるみたいだ』

 グロウはベットに飛び乗るとキャラの顔を見て眉をひそめる。

『何泣かせてんだよ』

 グロウはキャラの頬に残る涙の跡をペロリと舐めた。

「嬉し泣きだ。気にするな。つうかむやみに触るんじゃねぇ。ムカつく」

 完全に分離したなら、ぶっちゃけ他人だ。
 その他人にキャラを触らせたくはない。
 グロウは鼻で笑うと、これ見よがしにキャラの膝に乗ってくつろぐ。

「てっめ……」

『なんだぁ?やるか?こら』

『やかましい!』

 アースとグロウの喧嘩が始まるかと思った時、キャラの背後からオーウェンが現れて一喝した。
 肩をすくめて黙った2人を見たオーウェンは、軽くため息をついてキャラの肩に手を置く。

『キアルリア、皆に伝えてきなさい』

「はーい」

 キャラはグロウを抱き上げるとそのまま病室を出ていった。
 部屋から出る瞬間、グロウはキャラの肩から顔を見せて、べーっと舌を出した。

(あんにゃろぅ……)
 軽くイラッとしたアースは、後で殴ろうと心に誓い、ふと、オーウェンと2人きりになってしまった事に気づいてなんとなく居心地が悪くなる。

「あ〜…と、色々世話になりました……ありがとうございます」

 わざわざファンから飛んで来て助けてくれた事に礼を言ったアースに、オーウェンは腕を組んで答えた。

『キアルリアを連れに来ただけでお主はついでじゃ』

 ですよねー、とアースは肩をすくめて緩く笑う。

『……止めぬのか?』

「止めねぇッスよ。アイツがきっちりカタをつけた頃に迎えに行きますから」

 キャラはファンから逃げた事をひどく後悔している。
 いい機会だから心残りがないようにしておいてもらおうと、アースは考えていた。

『……城での事を聞いておるのか?』

 好きな相手には知られたくない内容だろうに、話したのか……。

「ああ……今でもたまに夢に見てうなされてますよ」

 目覚めたばかりで本調子じゃないアースは、息を吐いて枕に沈む。

『……そうか』

 オーウェンが自分を責めるように呟くのが聞こえたのでアースは苦笑した。

「爺さんのせいじゃねぇだろ……?」

 以前、『キアルリアを守れなかったクセに』と責めたのはアースなのだが……。


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