仕組まれた王様ゲーム-5
「うわ。すっげぇ濡れてるじゃん!」
坂田が嬌声をあげる。
「何?どれどれ?……あら〜……ゲームでこんなに感じちゃったのぉ?」
上野もわざと大きな声で騒ぎ立ててあいりの羞恥をあおる。
「……か、返して……」
「ダーメ!そのままゲームを続けるの!」
真っ赤になって手を延ばすあいりを嘲笑うように、上野がそのピンクの下着を廊下に放り出してしまった。
「どれだけ濡れてるか見てやるから、ちょっとスカート捲って見せろよ」
坂田が下からスカートを覗きこみながらあいりをはやしたてた。
「……そんなこと……できません……」
涙声で後ずさりするあいり。
「あれだけパンツ濡らしといてなに気取ってんの?」
「……や…やめてください……」
「いいから見せろって」
「……い…嫌……」
「新入社員の分際で逆らう気かよ。王様の命令は絶対だろ!」
この期に及んでまだ抵抗をみせるあいりに、坂田がイラつき始めた。
「いいからスカート捲れって!」
「……で…でも……」
「ケチケチすんな!辰巳にはヤらせたくせに!」
「えっ……」
坂田の放ったおぞましい一言に、あいりの身体は一瞬にして凍りついた。
自分が辰巳にレイプされたことを坂田たちは知っているのだ。
「あの写真」がついに社内にまで拡がり始めている―――。
その事実があいりを戦慄させた。
「坂田会に来て俺に逆らえると思ってんの?」
坂田の眼からは普段の調子のいい陽気な雰囲気は消え失せ、残虐なケモノのような鋭い光が宿っている。
あいりは蛇に睨まれた小動物のように、身動きがとれなくなってしまった。
『――この男は危ない――』
本能が警告を発している。
「いい度胸してんじゃねぇか」
坂田がネチネチとにじり寄りながらあいりの足首をつかんだその時―――背後のドアが勢いよく開いた。
「……あいりちゃん!」
そこには青ざめた顔の三田村が立っていた。
手にはあいりがたった今脱ぎ捨てた下着が握られている。
「……み…三田村くん……」
「―――三田村。いいところに来たな。今から面白い罰ゲームをやるところだ」
坂田が悪魔のような笑いを浮かべた。
END