今夜、七星で Yuusuke’s Time <COUNT3>-7
「あ、っと」
うまく言葉が出ない。椿さんはぼんやりと俺を見つめていた。
ずっと、世界に入り込んでいる俺を、眺めていた。
「悪い。暇だったでしょ?」
はあ、と一息ついて頭を掻く。煙草が無くて落ち着かない。
見られているのも、見せているわけじゃないから、素っ裸を見られているようで妙な感じだ。
「……そんなことないよ」
「いや、つまらなかったでしょ。そうだね、映画でも見る?」
担いでいたベースを置き、床へと座る。
愛用のパソコンを開こうとすると、椿さんの手が俺を制す。
「いい。それより、煙草が切れたんじゃないの?」
よく見てるな、と唸る。
でも、外はまだ雪が降っている。PM 01:00 確かに煙草は欲しい。
「コンビニ、行く?」
椿さんがのろのろと起き上がる。ゆるい動作で上着を手にし、束ねていた髪を梳く。
そんな動作。
が、新鮮に映る。
いや、なんて言うか。
普通にしてる椿さんを抱きたくなった。
スイッチが入った、とでも言うのか。
好きなものを、自然と欲しがれる気持ちが溢れた。
安心感?どうなんだろう。何にも偽らないでいられる。
素直に、唇から言葉が滑り落ちた。
「煙草より、俺を満たして」
言ってから気付く、こんなの俺らしくない。
言っててアホらしくなる。泊めたことが、この気持ちに変化を起こしたか。
溺れてるわけじゃない。溺れたいわけじゃない。
なのに。この低落。
は。
言い訳できねえ。