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今夜、七星で Yuusuke's Time
【OL/お姉さん 官能小説】

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今夜、七星で Yuusuke’s Time <COUNT3>-6

どんどん突き進む。渦に入っていく。狂気に近い。弦を弾く右手、弦を抑える左手。
譜面もない、頭の中だけに描いた自分のアレンジ。
大体こんなもんだ。練習は一人の世界に入ってやっと始まる。

ユースケ、ではなく、加瀬裕介にならないと始まれない。

音を追い、音に食い付き、音を飲み込む。
何が楽しいか、そう聞かれてもよくわからない。
ただ、音は快感だ。音は自分を映す。音は俺自身だ。
無いと窒息する。加瀬裕介は、へらへらして女に縋らなくとも意義がある。
本当の俺、なんだろうな。そして常に憧れ続ける存在だ。

そうなりたい、そうでありたい、だが、加瀬裕介だと生き抜けない。
稼げない、食っていけない、理想ばかりじゃやっていけない。

つまんねえ。そんな俺。

ユースケが空っぽなのは、だからだろう。
女のケツばかりに縋り、宿と金が欲しくて媚を売り、嫌だと思いつつ快感に浸る。

ユースケも裕介も中途半端だ。

音を追及することも、諦めて受け入れることも出来ずに、ただ怠慢にチャンスを待つ。
駄目だと知りながら。宙ぶらりんで、だらしない。


好きなものを好きだと言いたいのに。





それからどのくらい経っただろう。
譜面を引っ張り出して、本格的に練習を始め、没頭してしまった。椿さんをすっかり忘れて。

何一つ声を出さない、いや、出せる雰囲気じゃなかったかも知れないが、とにかく存在感が薄い。
煙草が空になったから、仕方なくベースを手放してようやく気付いた。
居たことに驚いたくらいだ。


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