坂田会-5
10分ほど待っただろうか。
直美がようやくトイレから出てきた。
「はぁ。吐いたら少し楽になったかも」
意識はさっきより随分はっきりしているようだが、顔はまだ真っ赤だった。
「……はよ……もどりましょう……」
三田村はフラフラと立ち上がる。部屋に残してきたあいりのことが気掛かりでしかたがなかった。
坂田と上野が泥酔状態のあいりを親切に介抱しているとはとても思えない。
『ちょっといじくってその気にさせりゃ、すぐヤらせてくれる……』
坂田の下品な笑い顔が頭をよぎる。
あいりがあの二人に服を剥ぎ取られ、身体中をいじられている姿が鮮明に浮かぶ。
乳房と陰部を別々の男にまさぐられ、なめ回されて身をよじるあいり。
嫌がりながらもかわいらしい喘ぎ声をあげ、割れ目からは愛液をしたたらせて―――妄想の中のあいりはいつしか快楽に酔いしれて激しく乱れていく。
三田村がいつも自慰の時に思い描くあいりは、自分ではなくて何故か必ず他の誰かに無理矢理犯されている姿なのだ―――。
今こうしている間にも、あいりは坂田と上野に…………。
そう思うだけで身体の一部が熱く充血してくるのが自覚できた。
『……あほや……俺も辰巳と変わらへんやん……』
自分はその行為を本当にやめさせたいのか……
それとも、実はそんなあいりを見たいと思っているのか……
あるいは、本音を言えば自分がそうしたいと思っているのか………自分でも混乱していた。
『……あいりちゃん……』
アルコールに理性を麻痺させられ、意味不明の衝動が身体の奥にくすぶっている。
今すぐにでもあいりを抱きたいという率直な性欲が三田村の頭を支配し始めていた。
「ねぇ……ちょっとまってよ」
不意に直美が三田村の腕をつかんだ。
「……あたし……あんたみたいな子タイプなの……」
「………え?」
直美の目が急激に妖しい色を帯びていく。
男好きのする色っぽい顔が、三田村のすぐ目の前に迫ってきた。
「あっちはあっちで楽しむだろうから……あたしたちも……ね?……」
直美は甘えた声で言いながら三田村の首に手を回し、唐突に唇を重ねてきた。
厚ぼったいふっくらした唇が、三田村の口を心地よく塞ぎ、ヌルリとした舌が上唇の奥へ入りこんでくる。
反射的に三田村はぎゅっと目を閉じていた。
単純にいやらしくて……
単純にキモチいいキス――。
ひどく酔っているせいで思考が混濁して、自分が誰とキスをしているのかわからなくなってくる。
ただ脳天を駆け抜ける淫靡な感覚に、理性が押し流されていくのがわかった。