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サノバ・ビッチ
【レイプ 官能小説】

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麻理-4

「昭彦くん?」

飛び上がるくらい驚いて振り返ると、隣の家に住む麻理が俺のすぐ後ろに立っていた。

高校の制服の赤いリボンが風に揺れている。

「―――ま、麻理姉ちゃん……」

清潔感の漂う理知的な視線で真っ直ぐに見つめられ、俺は後ろめたさで目の前が真っ暗になった。

「―――何見てるの?」


質問というより、明らかに俺の覗き行為を非難するようなその口調に、俺は言葉を失ってうつむくしかなかった。


「―――昭彦くん。お姉ちゃんと公園行こう」


麻理は戸惑う俺の手をぐいぐい引いて、公園に向かって歩き出した。

少し怒ったようなその後ろ姿を見て「あの家の中で行われていることを、麻理は知っているのだ」ということを俺は悟った。


公園に着くと、麻理と俺はブランコに腰をかけた。

いろんな感情が渦巻いて、俺は今にも泣き出しそうだった。



「――チョコレート、あげる」


麻理が出し抜けに言った。


学生カバンの中から取り出した板チョコを見て、「高校生になると学校にお菓子を持って行っても怒られないのかなぁ」などと的外れなことを考えている自分が可笑しかった。


麻理は、それ以上何も言わなかった。

帰って来るようにと母に決められた7時まで、俺たちは並んでブランコに揺られていた。


麻理のくれたチョコレートは、甘くて切ない味がした。



それ以来、俺が一人で公園にいる時は、必ず7時まで麻理がそばにいてくれるようになった。


母に対する激しい怒りや悲しみも、麻理と過ごしていると自然に落ち着いた。


麻理の透き通るような清潔感に俺は癒され、麻理と過ごす時間が俺の中で何より大切なものになっていった。


いつしか俺は、七つも歳の離れた麻理に淡い恋心を抱いていたのだ。





そんなある日――――。


「……昭彦。今日は大切なお客さんだから…ごめんね……」

母がいつものように俺を家から出す。

玄関で申し訳なさそうな母に見送られた時、嗅ぎなれないきつい香水の香りが鼻をついた。

厚化粧の顔や、男に媚びるようなだらしない服装さえ息子に隠さなくなってしまった薄汚い母。

その頃、俺の中で母はもっとも軽蔑する女に成り下がっていた。



早く麻理の顔が見たい―――。


美しく、聡明で、清らかな麻理。一点のけがれもない天使。


『麻理姉ちゃんは母さんとは違う。麻理姉ちゃんは女神様なんだ――――』


俺にとって麻理こそが理想の女性であり、理想の母だったのだ。





しかしその日、麻理は公園には来なかった。

いつも麻理が公園の前を通る時間を何分過ぎても、麻理が現れる気配はなかった。


俺は不安になり、公園の周辺をうろついて麻理を探した。

なぜ麻理は来てくれないのだろう。
俺のことがどうでもよくなったのだろうか―――。


まるで実の母親に見捨てられたような不安で、俺はパニックに陥っていた。



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