罠-6
『……やめて……』
ハンカチを押し込まれた口の中がカラカラに渇き、苦しさと切なさで涙が溢れた。
「……よく見ろ……あいつも俺たちと同じケダモノだ……」
川瀬の言葉に胸がズキリと痛む。
純粋で真っ直ぐな三田村を愛することで、自分自身も清らかでいられる―――知らず知らずのうちに、そんな馬鹿げたことを考えていた自分が悲しかった。
川瀬の指が、立ち上がってしまっている陰核をいたぶるように強く捻りあげる。
「……わかるだろう……三田村も……ただのオスなんだよ……」
『……もう……やめて……』
あいりは絡み合う二人の姿から目を背けた。
しかし、三田村の裸を見て欲情してしまっていたあいりの肉体は、川瀬のサディスティックな指遣いにあっけなく反応しはじめていた。
痛いくらいに捻り潰された陰核はビリビリと熱く痺れ、ずっと捏ね回され続けている左の乳頭は硬く立ち上がってしまっている。
ほとんど痛みしか感じないような乱暴な愛撫にもかかわらず、この異常な状況の中で肉体がそれを快楽だと感じてしまっているのだ。
気持ちだけが置き去りにされたまま強引に肉体だけが高みに押し上げられていき、秘裂からは情けないほど新たな淫汁が溢れ出してきた。
どんなに抵抗し、どんなにもがき苦しんでも、あいりはいつも最後には川瀬に逆らいきることが出来ない。
それでも今までは、三田村の存在があいりの清らかでいようとする気持ちを支えていた。
しかし彼のあんな姿を目の当たりにした今、あいりはもはや抵抗することの意味さえ見失いそうになっていた。
「……もっとよく見ろよ……」
川瀬はあいりの口からハンカチを抜き取り、涙でぐしゃぐしゃになった顔を絡み合う二人の方へと向かせた。
ちょうど理可がうっとりとした表情で三田村のベルトを手をかけたところだった。
カチャカチャという微かな金属音とともにスラックスがいとも簡単に太腿を滑り落ち、三田村はトランクス一枚だけの姿になった。
まるで無防備な少年のようなその姿に、あいりの胸はきゅっと締め付けられる。
トランクスの中央の盛り上がりが、三田村の興奮を生々しく物語っていた。
理可がトランクスの上からその部分に指を這わせると、三田村の口から切ない呻き声が漏れる。
唇を噛み、耳まで真っ赤になって攻められる羞恥に耐えている三田村。
不思議なことに、その表情は快楽を貪るケダモノというよりも、拷問に耐えている美しい戦士のように見えた。
赤いマニキュアを塗った理可の指が、卑猥な手つきで三田村のトランクスを脱がしていく。
あいりはひどく後ろめたい気持ちを抱きながらも、その淫靡な光景に釘付けになっていた。
トランクスがゆっくりとずらされると、黒々とした雄々しい茂みの中から、そそり立つペニスがあらわになった。
若々しいピンク色の肉塊は反り返るほどに硬く勃起し、その先端は微かな赤みを帯びて三田村自身の快楽の印でねっとりと濡れているのが見て取れる。
神聖さすら感じさせるほど美しい三田村の裸体の中で、その部分だけがやけに生々しいリアリティを感じさせた。
理可が躊躇なくその股間に顔を埋めてフェラチオを始めると、三田村は身をよじらせて微かな喘ぎ声をあげる。
少しハスキーな掠れた声がたまらなくセクシーだった。
『……三田村くん……み…三田村…くん……』
川瀬に激しくまさぐられ蜜を吐きながらも、あいりの肉体は満たされない渇きに激しく疼いている。
我を忘れるほどめちゃくちゃにされたいような、投げやりな性的衝動があいりを支配していた。