罠-4
普段の三田村は、女性よりも男性に囲まれているようなイメージがある。
清潔感のある陽気な笑顔からは、ギラつくようなオスのオーラは微塵も感じられない。
だが、今目の前で理可の乳頭に舌を這わせている三田村は、紛れも無く一頭のオスそのものだった。
その瞳からはいつもの穏やかな優しさが消え、妖しい光が放たれている。
「……ああ……いいわ……もっとよ……」
理可はうっとりとした表情で三田村の髪をまさぐりながら甘い吐息を漏らした。
少しブラウンがかった髪をくしゃくしゃに掻き乱された三田村の顔からは、なんともいえない色気が漂っている。
二人の息遣いがだんだんと激しくなってきた。
『……いや……やめて……』
あいりの全身は、凄まじい嫌悪感で身震いしている。
しかしその一方で目の前の淫靡な三田村の姿に心を奪われている自分がいた。
初めて目にする三田村の裸体。
それはあいりが思い描いていた姿より、はるかになまめかしく卑猥だった。
自分の中で勝手に「清潔」だと決めつけていた三田村が、生々しい性欲を持った一人の男であることをまざまざと見せつけられたような気がした。
男の裸をこれほどセクシーに感じたのは初めてかもしれない。
理可の陰部を撫でている三田村の指の動きが一瞬止まり、膣へと侵入しようとしているのがわかった。
入り口を探るように、指先がゆっくりと陰唇を掻き分けながらうごめいている。
知らず知らずのうちにあいりの身体の中心は熱く火照り始めていた。
頭の中ではいつの間にか三田村のあの長い綺麗な指で、自分自身の蜜壷を掻き回されることを想像してしまっている。
自分も三田村にあんなふうに抱かれたい―――。
この濡れた淫裂にあの指を深く沈められたい―――。
こんな異様な状況で発情している自分に戸惑いながらも、その高まりを抑えることが出来ない。
とろけて敏感になった部分に全身の血流が集まっていくのを感じて、あいりはぎゅっと目を閉じた。
気付けばストッキングまで染みてしまうほどぐしょぐしょに濡れてしまっている。
その時、三田村が色っぽく掠れた声で囁いた。
「……めっちゃ…濡れてる……」
理可に発せられたその一言で、あいりはその場に崩れ落ちそうなほど感じてしまっていた。
あいり自身のぐっしょり濡れたその部分を三田村に直接触れられてしまったように、全身にびりびりと快感が走る。
あいりはもう、身体中から湧き上がる劣情を我慢出来なくなってしまっていた。
『……み…三田村くん……』
什器にすがりつきながら、スカート越しに右手でぎゅっと股間を押さえると、指先がぬるりと割れ目にめり込んだ。
陰核がジンジンと痛いくらいに充血しているのがわかる。
信じがたいことにその淫靡な興奮のバロメータは、自分自身がセックスをしている時以上に熱い高ぶりをみせていた。