羞恥の電車通勤-4
『……ダメ…何考えてるの……』
慌てて鏡から目をそらし、素早く通勤用のブラウスとスカートを身につけた。
『……大丈夫…服を着てしまえばわからないわ……』
自分自身に言い聞かせたが、よく見るとピンク色の乳頭が、ブラウスごしにうっすらと透けている。
恥ずかしくてたまらないが、これを隠すためにキャミソールやスリップを着ていくことを川瀬が認めてくれるとは思えない。
一つでも川瀬の気に入らないことがあれば、更なる悪条件で今日以上に恥ずかしいことを命じられる可能性が高い。
あとのことを考えれば、今日のところは極力川瀬の望むであろう姿で出勤するほうが、状況はましかもしれない。
とにかく出来るだけ周りに気付かれないように、目立たないようにしなくては―――。
時計を見ると、すでに7時を回っている。
指定された出勤時刻に間に合うためには、一時間に一本だけ走っているノンストップの快速電車に乗らなければならない。
『いけない……急がなきゃ……』
あいりは慌てて身支度にとりかかった。
――――――――――――
外に出てみると、今日に限っていつもより少し風が強いような気がした。
膝丈のフレアスカートの裾から入りこんだ生暖かい空気が、悩ましくあいりの股間を撫で上げていく。
下半身を全て露出して歩いているような不安定な感覚に、自然に足が内股になってしまう。
パンティに内蔵されたボールは歩く度に股間に強く食い込んで、クリトリスに甘い刺激を与え続けてくる。
「……ん……んっ…ダメ……」
駅にたどり着いた時には、すでにぬるついた淫液が太腿まで溢れ出していた。
乳首はブラウスの上からでもはっきり形がわかるほど硬く立ち上がってしまっている。
『……どうしよう…乳首がこんなに……』
更に悪いことに、駅はいつもあいりが出勤している時間帯よりかなり混雑していた。
あいりの出勤時間は、通常はデパートの開店時刻の少し前になるため、いわゆる通勤ラッシュの時間帯からズレている。
しかし今日は一時間早く出勤したために、ちょうどラッシュのピークに巻き込まれることになりそうだった。
『嫌だなぁ……こんな日に限って……』
―――それら全てが川瀬の計画通りだということを、この時のあいりは知るべくもなかった。
プラットホームは、サラリーマンや学生でごった返していた。
あいりは落ち着かない気分でキョロキョロとあたりを見回してばかりいる。
周りにいる全ての人が自分のいやらしい格好に気付いてジロジロと見ているような気がしてしまう。
特に乳首は意識すればするほどますます感度を増していくようで、その先端が軽くブラウスに擦れるだけで、小さな悲鳴をあげてしまいそうだった。
ホームに出てから5分ほど待つと、ようやく乗るべき快速電車が到着した。
電車が巻き上げる、構内の湿った空気がフレアスカートをふわりと持ち上げ、あいりは慌てて通勤バッグで裾を抑えた。