陥落-2
毎日繰り返される凌辱に、だんだん麻痺していく道徳感と貞操観念。
いっそのこと、この肉欲に心ごと溺れてしまえばどれほど楽だろうかと思ったことも何回もある。
しかし、その度にあいりの心を支えてきたのは、三田村の存在だった。
望みがない恋だということはわかっている。何故そこまで三田村にこだわってしまうのか、自分でもよくわからなかった。
三田村を好きでい続けることで、どんな凌辱を受けようとも自分は清らかでいられる――いつしかあいりの中でそんな感覚が生まれていた。
笑うと八重歯がのぞく、三田村の爽やかな笑顔。その人懐っこい真っ直ぐな瞳を思い出すだけで、あいりの心はいつもより強くなれるような気がした。
「何を考えてる―――」
不意に川瀬が唇を離して、あいりを冷たく睨みつけた。
「……え……?」
一瞬三田村への思いを見透かされたような気がしてあいりの胸はドキリと高鳴った。
「……相変わらず生意気な女だな……」
言うことをきかない奴隷かペットを威嚇するような川瀬の鋭い眼差しが、あいりを真っ直ぐに射抜く。
「……身体はこんなに反応してるくせに……」
川瀬の左手が、スカートをたくしあげて太ももの内側に滑り込んで来た。
窮屈なタイトスカートがヒップにひっかかり、ストッキングに包まれた下半身が丸出しになる。
「……しゅ…主任…やめて…ください……」
内ももは、下着から溢れ出した愛蜜ですでに言い逃れできないほど濡れてしまっている。
「嫌だと言う割に随分濡れてるじゃないか……」
あいりの耳元に囁きながら、川瀬はぬるついた肌をストッキングの上から手の平でゆっくりと撫でまわした。
背筋がぞくぞくするようなむず痒い快感があいりの身体を駆け巡る。
川瀬の右手が素早くブラウスのボタンをはずし、ブラジャーの中へと侵入して来た。
「……アッ…あ…ああっ…」
ボリュームのある膨らみの先端はすでに恥ずかしいほどにそそり立ってしまっている。
敏感になってしまったその部分を、あの恐ろしく巧みな指先で捏ねまわされることを想像するだけで、あいりはもう興奮で息が荒くなってしまう。