三田村真吾の憂鬱-9
「……お前……お前がやったんか……」
「い…いや…そんなんじゃねえよ……」
辰巳は三田村の反応が予想外だったため、急に気まずそうに携帯をしまった。
「……ならその写真……誰から手に入れたんだよっ!」
「え?えと…イ…インターネットで見つけたんだよ……」
三田村にすごい剣幕で怒鳴りつけられ、まさか自分が川瀬と二人がかりでレイプしたとも言えず、辰巳は苦し紛れに言った。
「……インターネット?」
「そうだよ……そ、そういう投稿写真ばっかのサイトに載ってたんだよ」
実際その写真は辰巳が面白半分でサイトに投稿したものだから、あながち嘘でもない。
「……それ…何ていうサイトや?名前は?!」
三田村は辰巳につかみかかりそうな勢いで詰め寄った。
「ええ?……なっ…なんだよっ…名前?…えーと…へ、『変態…制服クラブ』だっけ?…ハハハ…でももうその写真…削除されたんだよ」
「削除?……いつ?いつやねん!?」
「えと……き…金曜日だっけ……」
「金曜……」
まさしくあいりが苦情処理に行った日だ―――。
次々と符合する不気味な場面とキーワード。藤本あいりの身に何かが起きていることは間違いなかった。
三田村は自分の飲み代をテーブルに叩きつけ店を飛び出していた。
部屋に着くなりパソコンを開き、さっき辰巳から聞いたサイト名を検索する。
「……これか……」
画面一杯に様々な制服姿の女が映し出された。
ナース、スチュワーデス、セーラー服……どの女も媚びるような視線をカメラに向け、自ら股を広げ、スカートをめくっている。
三田村は夢中であいりの痕跡を捜した。
自分でも何をしたいのかわからなかった。
あの写真を肯定したいのか、否定したいのか……あいりの痕跡が見つかったからといって自分に一体何が出来るのか……。
答なんて何一つ見えない。
それでも捜さずにはいられなかった。
あの日、傷だらけの身体をコートに隠し、明らかに無理して笑っていたあいり……。
何かあったら俺の携帯を鳴らせと言ったはずなのに……。
なんで俺を呼ばへんかったんや……?
あの日藤本あいりに何があったんや…?
息苦しいほど切ない衝動が三田村をつき動かしていた。