「超合体浪花ロボ・ツウテンカイザー」-3
「こんんのぉぉおおっ！！」
「このままじゃあ、キリが無いよおっ！何か武器はついていないのぉ！？」
「恭子、レバーに付いているトリガーを引いて！バッファローに搭載された光子ミサイルが発射されるさかい」
「ええっとぉ、これぇえっ？？」
慌ててトリガーを引く恭子。次の瞬間、ツウテンカイザーの装甲が開き、無数のミサイルが発射される。
ツウテンカイザーの回りはどこもエイリアンで埋め尽くされている。ミサイルはことごとく命中し、閃光と爆炎がまるで花火のようにあちらこちらで広がっていった。
「やったぁっ！」
手を叩き、歓声を上げる恭子。
しかし、ツウテンカイザー侮りがたしと見たエイリアンは、無謀な特攻をやめ、身体から突出した光学兵器をツウテンカイザー目掛けて浴びせかけ始めた。
『ノォウワッッ！！？』
敵の集中砲火を浴び、苦悶の声を上げるツウテンカイザー。
「ツウテンカイザーの中性子合金でできた装甲は、そう簡単には傷つけられへんっ！それっ、重力障壁！！」
『グラビティー・ウォールッ！！！』
ツウテンカイザーの周囲に目に見えない重力の壁ができ、敵の光線が湾曲して自滅を誘う。
「す、凄いよ、ひよこっ！！」
「当たり前だのクラッカーやっ！お父ちゃんの造ったツウテンカイザーや、百万の艦隊かて足元にも及ばんて！！」
得意げな表情を見せるひよこ。
「そしたら、いよいよBKO砲の出番やっ！！」
ひよこの言葉と共に、ツウテンカイザーは背負ったエネルギーキャノンを取り外し、両手に構えた。BKO砲の銃口から紫電が迸り、続いて目もくらむ閃光が光の奔流となり、エイリアンの群れを消滅させていく。
「いっけぇえっ！怒涛のバックスクリーン、三連発やぁあっ！！」
嬉々としてBKO砲を撃ちまくるひよこ。しかし、調子に乗るあまりすぐにエネルギーが切れる。BKO砲のフルパワーでの発射は三発が限界なのだ。
「ちょっと、ひよこ。BKO砲のエネルギー残量がエンプティーだよっ！どうするの！？」
「大丈夫や。八時間もあればツウテンカイザーの対消滅エンジンからBKO砲にエネルギーが充填される」
「ちょっとぉおっ！！八時間もかかるのぉおっ！！」
悲鳴を上げる恭子。しかし、ひよこは些かも慌てずに言い放つ。
「ツウテンカイザーが動いている間はその位かかるんや…。そやけど、ツウテンカイザーの武器はBKO砲だけやないでっ！！」
『通天剣ッ！！！』
ツウテンカイザーの胸にある猛虎の口から炎の棒が吐き出され、それが実体化して光る剣となる。
「敵の数もだいぶ減ってきた。このまま一気呵成に畳み掛けるでぇえええっ！！」
『ドォオオリャアアアアッ！！！』
剣を振りかざし、雄叫びを上げてエイリアンの群れに突っ込むツウテンカイザー。
敵の光学兵器もものともせず、ツウテンカイザーは阿修羅のごとき勢いで、エイリアンの群れを次から次へと両断する。
やがて、エイリアン達はツウテンカイザーの猛攻に恐れをなしたのか、ツウテンカイザーを遠巻きに取り囲み、攻撃してこなくなった。
「どおや、見たか、聞いたか、ツウテンカイザーのこの強さッ！！」
しかし、エイリアンは単にツウテンカイザーを恐れたわけではなかった。エイリアン達は数珠繋ぎになると、次々と結合していく。
「ねえ、見てッ。エイリアンがっ！？」
結合したエイリアンが巨大な百足となり、驚きの声を上げる恭子。
そこへ、突然どこからか通信が入り、目の前のディスプレイにいかつい男の顔が大映しになる。顔に十文字の大きな傷があるその男の顔に、今度はひよこがぎょっとする。
「お、お、お父ちゃん！？」
「十文字博士！」
「何しとるんじゃ、このドアホッ！！勝手にツウテンカイザーを持ち出してからに」
驚くひよこ達を一喝する十文字博士。
「お、お父ちゃん、生きとったん？？」
「勝手に殺すな。…阿呆が足らいで。…今はオリュンポス山の中心にあるテラフォーミング観測基地におるんや。ここも大分やられたけど、何とか設備を復旧させてな。そしたら、勝手にツウテンカイザーが動いてるやないか」
「う、うちはただ、お父ちゃんやらの仇をとろう思て…」
肉親の無事な姿を見て、思わず涙ぐむひよこ。しかし、十文字はまるで聞いてはいなかった。