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非線型蒲公英
【コメディ その他小説】

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非線型蒲公英-40

 満足に直進する事すら困難になっていた『レーヴェンツァーン』は、追いすがる『キルシュブルーテ』から必死に距離を取ろうとしていた。
(せめて、ブレードさえ、回収できれば…)
 だが、それは叶いそうになかった。もう、あといくらと経たないうちに『キルシュブルーテ』の有効射程内に入ってしまう。そうなったら、もう、回避は出来ない。
(これまで…ということですか…っ)
 コントローラーを握る手が、かたかたと震えた。
 それでも、有効射程までの距離と相対速度から導き出したカウントダウンをとっている冷静な自分がいることに気が付き、少し可笑しくなった。
(…3…2…1…)
 終わった。そう思った瞬間。刹那として閃光が辺りを包み込むと、『キルシュブルーテ』は全身のERAを暴発させ校舎側と反対の方向に激しく吹き飛んでいた。
(…なっ…!!)
 その光景に、一瞬、頭が真っ白になる。が、すぐに、状況を把握する。何があったのかは知らないが、とにかく、ブレードまでの道は確保された。勝機が見えた。
(…恐らく、今のは爆発反応装甲を全て失っただけで…『キルシュブルーテ』自体は、まだ動けるはず…ならば、動かれる前に…)
 残された力を全て振り絞るように、ブレードが突き立つ地面へと加速する。そして、左腕でブレードのグリップを握り、加速の勢いを殺さぬようにブレードを支点として、弧を描きターンするように方向を『キルシュブルーテ』に対して転換。そのまま、ブレードを引き抜いて、最大加速。
(…断ちます!!)
 次の瞬間。桜花は、散った。


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