灯る光-5
「いい企画だ!冴木くん、よろしく頼むよ!」
そう言って役員の人たちは会議室を後にした。
プレゼンは無事に終わった。
そう、成功して。
ホントに石田さんのお陰だった。
今回のこの会議、司会は石田さんだった。
課長が馴染みのある人がいいだろうと、石田さんを司会にしてくれた。
極度の緊張で、喉がからから。
手と足が震えて、心臓がドキドキうるさかった。
石田さんは私がリラックス出来るよう、会議室の冒頭から柔らかい雰囲気を作ってくれた。
常に目配せをしてくれて、私の話しやすい環境を整えてくれた。
私も最初は緊張して上手く話せなかったが、徐々に緊張もほぐれ、笑う余裕も出てきた。
質疑応答も無事に終わり、役員会議でOKをもらえた。
会議は4時間。
終わって石田さんと役員の方々を見送る。
最後の一人を見送って、石田さんの方を向き頭を下げた。
「ホントにありがとうございました。今回成功できたのは石田さんのおかげです。企画の段階から、今日の司会、いつも助けてもらってばかりで…ホントにありがとうございます。」
「俺も最初の役員会議の時がっちがちでさ。先輩に助けてもらったんだ。だから冴木さんの気持ちがわかったよ!でも冴木さんの肝の座り方は見習わなきゃな。」
石田さんは軽く笑いながら言う。
ホントに先輩に恵まれている。
2人で会議室に戻ると、課長と理恵が美味しそうなお弁当を持って出迎えてくれた。
理恵がお弁当を持ってお茶を煎れに行った間に片付けを済ませる。
デスクに戻り、お茶が来てお弁当を広げるとようやく肩の荷が下りた。
課長と理恵はご飯を食べずに待っていてくれた。
お弁当を食べながら4人で盛り上がる。
夜の打ち上げを楽しみに、残りの仕事に取り掛かる。
携帯を取り出し、大輔くんと十時くんに成功のメールを送った。
これからがいよいよ本番。
課長と石田さんと、この企画のメンバーを話し合う。
事前に話はつけてあるので、予定通りのメンバーで行く。
十時くんは昨日自分で言っていた通り、メンバーに招集されていた。
課長の心遣いはホントにありがたい。
気を引き締めて取り掛かる。
ー17時。
「冴木っ!」
いきなり作業室のドアが開き、名前を呼ばれる。
びっくりして書類を作っていた手が止まる。
振り向くと、十時くんが入ってきたとこだった。
「な、何?」
「良かったなー!頑張ったじゃん
!」
頭に手を置かれ髪をわしゃわしゃとされる。
私も思わず笑みがこぼれる。