投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

今のままで...
【青春 恋愛小説】

今のままで...の最初へ 今のままで... 4 今のままで... 6 今のままで...の最後へ

今のままで...-5

暫くの雑談の後
「あのね....直輝君...間違えてたらゴメン....」
美咲が話題を変えるように話しかけてきた。
「えっ?何?どうかした?」
「直輝君って....理彩の事好きなんじゃないの?」
「なんで?どうして?」
「なんとなくそう思って.....」
いつもなら上手く誤魔化すのだが今日はそう出来なかった....
「北原ちゃんにはかなわないなぁ....和哉でさえ気付かなかったのに....」
「和哉が気付いてくれる訳無いでしょう!」
「それは言えてる!」
「で....告白しないの?」
「実は....今日....」
「えっ?本当に?」
美咲は一瞬驚いたような顔をしたがすぐに興味深そうに、
「で....理彩はなんて?」
「本気だと受け取ってもらえなかった....」
「えっ?なんで?」
不思議そうにしている美咲に理彩との話をした....
「直輝君はこれからどうするの?」
「どうもしないよ!これまで通りに....」
「直輝君は本当にそれでいいの?もう一度....」
「いいんだよ!....今まで通りで.....俺は和哉と違ってキメるタイプじゃ無いからね!!」
「キメてなんかくれなかったんだけどなぁ....和哉は....」
俺は大笑いした後
「そんな軽口言えるなら大丈夫だね!!」
「えっ?」
美咲は不思議そうな顔をした。
「英語劇だよ!」
俺は話題を変えて
「頑張ってね!北原ちゃん!じゃぁね!!」
逃げるようにその場を離れた。
「もう....直輝君たら.....」
後ろでそう漏らす美咲の声を聞きながら....



週末に学校祭を控えた11月初旬、翌日が祭日で休みになるので美咲が泊まりに来る事になった。私は美咲の英語劇を見学させてもらって一緒に帰る事にした。美咲は「恥ずかしいから...」と渋っていたが、「本番にはもっと多く人に見られるんだよ」と言うと渋々納得してくれた。演劇部の顧問の柏木先生に何度もダメ出しされながらも必死になっている美咲に声も出なかった。
「柏木先生はいつもあんなに厳しいの?」
帰り道美咲に尋ねた。
「今日は優しかったほうよ!」
美咲は疲れ果てたように答えた。
「えっ?あれで?」
「うん....」
美咲は大きく頷いた後
「今日は理彩がいてくれたから遠慮したんじゃないかな....いつもはもっとキツいから....」
溜息を漏らした。
「よく続いてるね!!」
「仕方ないよ....私は全くの素人なんだから....」
「辞めようとは思わないの?」
「それは考えた事無いなぁ.....途中で投げ出すのなら最初から引き受けたりしないよ!」
私は美咲の強さに感心した。そして美咲らしいとも思った。




今のままで...の最初へ 今のままで... 4 今のままで... 6 今のままで...の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前