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SM地獄
【その他 官能小説】

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SM地獄(3)-1

喜美子は床に顔を付け、
義理の息子に頭をスリッパで踏みつけられて泣いていた。

その涙の滴さえ床に沁みだし、
埃にまみれて彼女の美しい顔を汚していた。

それは悔し涙ではなく、自分が侮辱され、情けない涙とも少し違っていた。
泣けば泣くほどそれは止まらず、いつまでも嗚咽していた。

彼女の心の中には、逆らう気持ちさえ失せていたからだが、
喜美子自身にも、自分の本当のその意味が分からなかった。

強いて言えば、流れくる涙を止めることが出来なかった。
ただ、喜美子は泣きたかったのだ。


悲しいという気持ちが彼女を泣かせてはいたが、
不思議なことに、どこかでそんな自分に酔っているのを感じていた。
そんな複雑な喜美子の気持ちを誰も知らなかった。

喜美子の切れた唇から、赤い一条の血が流れている。
息子の裕次は薄笑いを浮かべてそれをみていたが、
家政婦の由紀恵は息をのんで、それを見つめることしかできないでいた。

喜美子に手を貸すこともままならず、ただ呆然と見守るだけである。
しかし、その由紀恵の身体はいつからか熱くなっていた。

身体のどこかで、惨めな喜美子に自分の姿を置き換えて、
知らないうちに濡れている自分を感じ始めているのだ。


裕次は母の喜美子と家政婦の由紀恵を交互に冷たい目で見ていたが、
このときから彼は、由紀恵の中のM性を見抜いていたのかもしれない。

喜美子を痛めつけるこの行為を、
驚いてただ見ているしか出来ない由紀恵を、裕次はじっと観察していた。
この破廉恥なる光景を由紀恵に見せつけることで彼女を試したのだ。


裕次はこれからのことを想像し、異様に興奮していた。
しかし、興奮しながらも残酷で冷徹な彼は次の行為を確実に実行していく。


裕次は呆然として立ちつくす由紀恵をじろりと見つめて言った。

「さて、せっかく由紀恵さんがここにいるので見て貰おうか」
「あぁ、はい・・」
蛇のような眼で裕次に見られ、由紀恵はただ息をのんで頷いていた。

由紀恵の目の前で、喜美子がこれからどういうことをされるのか、
それを思うと、(お気の毒に・・)
と思いながらも心のどこかで興奮している自分がいる。

彼女は、この家に雇われた家政婦という自分の存在さえ忘れていた。

この家の美しい奥様が全裸で破廉恥なことをされていること、
それを見せつけられている自分の存在が分からなくなってきた。

この家に来るまでは想像さえしなかったこと。
その信じがたいことが今、目の前で起きているのだ。

しかし、この家の家政婦を辞めることが彼女には出来たはずだ。
確かに高収入は魅力である。
だが、彼女の心を引き留めたのはそれだけではない。

やはり由紀恵が人一倍の好奇心があり、
熟れた自分の中の女の部分が何かを求めたからだろう。
それは女の性であり、隠された欲望でもあった。

怖ろしいこの家の冷徹な息子の行為が、
いつか自分にも喜美子と同じように降り掛かることも知らずに。



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