異国の姫君-11
「次にお会いする時は『キャラ』とお呼び下さいね」
国王も立ち上がり正式なゼビア王国の礼を返した。
「楽しみですな」
キアルリア姫として会うのはこれきりだ、と言うキャラに、キャラの素顔に興味がある国王は素直に答えた。
「アース隊長。姫を学校まで護衛してさしあげろ」
「はっ」
敬礼したアースはキャラのためにドアを開け、キャラは振り向く事なく部屋を出て行った。
「くくく……さすがファンの姫君だなぁ〜一筋縄じゃぁいかねぇや……俺の完敗だ」
1人部屋に残った国王は楽しそうに笑い、残ったお茶を飲み干した。
アビィに乗った3人は、ベルリア達に状況を知らせるため学校へ行く。
キアルリアの姿を他に見せたくなかったので、学長室ギリギリに飛んでもらい、キャラを抱いたアースがテラスへと飛び降りた。
「どうだった?」
帰りを待ちわびていたリンは、アースから降ろされたキャラに駆け寄る。
「バッチリ。このまま此処に居られます」
親指を立てて報告するキャラに、リンは抱きついて喜んだ。
「条件は召喚師の技術復活と、常に魔導師と居る事ですけどね」
「つうワケで、俺が居ない間は頼む」
「そりゃ勿論……しかし、どうやって説き伏せたんだい?」
「凄かったぜえ?」
アースはキャラと国王の脅しと嫌味の応酬を教えてやる。
「キャラ、圧勝じゃないか……」
内容を聞いたベルリアは感嘆の眼差しを向けてきた。
「一応そういう教育はみっちり仕込まれてますしね……」
キャラはソファーに座ると肘掛けに突っ伏した。
「あ〜……疲れた……も〜したくねぇ〜」
気が抜けていつもの口調に戻ってしまう。
「お疲れさん」
アースは苦笑いしながらキャラの頭を撫でてねぎらう。
「……そういえば、なんで城を出たんだい?」
ベルリアの問いかけに答えが帰って来ないので、キャラに目を向けてみると肘掛けに突っ伏したまま寝ていた。
「おや……アース、移動の魔法陣を使っていいから、連れて帰ってあげなよ」
ベルリアは優しい笑みを浮かべてキャラを見つめ、アースに言う。
移動の魔法陣は大規模魔法なのでめったに使わせてもらえない。