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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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異国の姫君-12

「サンキュー」

 アースはキャラを抱き上げると、学長室の隣部屋に設置してある魔法陣に入る。

「転」

 アースが呪文を唱えると2人の姿が光り、次の瞬間には消えていた。



「ん……」

 ふわりとどこかに降ろされたのがわかり、うっすらと目を開ける。

「……起こしたか?」

 至近距離にアースの顔がありびっくりする。

「あ、あれ?寝てた?」

「疲れたんだろ」

 起き上がろうとしたキャラを優しく押し返して頬を撫でた。
 力を抜いたキャラは目を閉じてその手に甘える。

「キアルリア」

 突然本名で呼ばれ、心臓がドクンと飛び跳ねた。

「え?」

「なんだ?本名だろ?」

「いや…うん……そうなんだけど……うわ……なんか無茶苦茶恥ずかしい……」

 キャラは真っ赤になり、両手で顔を隠した。

「変な奴ぅ」

 名前を呼ばれて恥ずかしがるなんておかしい、とアースは大笑いする。

「だって……」

 今までは『キャラ』だった……色々あって油断した所にいきなり『キアルリア』で呼ばれたりなんかしたら、そりゃ照れる。
 ひとしきり笑ってキャラの横に寝転んだアースは、キャラの手を掴んで顔を覗き込んだ。

「いい名前だ」

「ありがと」

 まだ赤い顔に軽く唇を落として改めてキャラのドレス姿を鑑賞する。
 スリットから覗くスラリとした脚が誘うようにかすかに動く。

「あ……あの……風呂入りたいかな〜とか思うんだけど……」

 ジロジロ舐めるように眺められて、いたたまれなくなったキャラは身じろぎして言う。

「えぇ〜せっかく綺麗なのに勿体ねぇじゃねぇか、もっかいちゃんと見せろよ」

 渋々と体を起こしたキャラはベットから降りて、アースの前に立つ。

「本当に綺麗だ」

「っ……ダメっ!…恥ずかしすぎるっ!」

 キャラは両手を火照った頬に当てて後ろを向いてしまった。
 王城での毅然とした姫と本当に同一人物なのか?と疑いたくなる程の照れようだ。


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