投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

家庭教師
【同性愛♂ 官能小説】

家庭教師の最初へ 家庭教師 5 家庭教師 7 家庭教師の最後へ

第三章「告白」-1

第三章「告白」

「先生、彼女はいるんですか?」
 俺はチラリと卓上の時計を見た。勉強を始めて約三十分。英語の勉強は残り半分だが、シノブはいきなりこんなことを聞いてきた。
「バカ、土曜日の夜にお前さんの家庭教師を引き受けた時点で察しろ」
「いないんだ……」
 俺はシノブの背後に立っており、机に向かうシノブの表情は良く見えない。だが、心なしか、嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか……。
 家庭教師は学生時代にも近所の子供や高校生を相手にしたことがあったが、教える位置のパターンとしてはだいたい三つだった。テーブルに向かい合わせ、テーブルの前と横から、そして勉強机に向かって後ろから。当然、後ろからがもっとも相手に近い。
 大学三年生のときに女子高生の家庭教師をしたときも後ろからだったが、当時は付き合っている彼女もいたので、俺は相手に不純な感情を抱くこともなく淡々と家庭教師をこなしていた。
「お前さんの方こそどうなんだ? 顔はいいんだから、結構モテるだろうが。いつも一緒に塾に来てる娘とかいるし。同じ学校だったよな?」
「えっと……、モテると言えば、モテるんですけど……」
「ほう」
「男の子になんですよね……」
 シノブは照れ笑いをしながら振り返った。コイツはマジ可愛い……。
「ちょっとキモいですよね、こんなの。ゴメンなさい、先生。忘れてください」
「いや、なかなか興味深い」
「え、だって、先生ノーマルなんじゃ……」
「社会的にはそういうことにしている」
「ふーん。それじゃ、今は社会的じゃないってことですね?」
 こういうレトリックに富んだ言い回しは中学生には早かったかと思ったが、シノブは問題なく理解したようだ。それどころか、普通に返してきやがった。まあ、あれだけ本を読んでいればそれも当然か。むしろ中二病全開な言動が無くて良かったというべきか。
「今なら何でもウェルカムだ。悩みがあるんなら聞くぞ?」
「どうしようかな……。えと、小学生の頃の話なんですけど……」
 シノブは自分の体験談を淡々と語り始めた。俺はネットの掲示板よりはるかに生々しい話を聞くことになった。もちろん、興味は深々だ。
「最初は小学五年生のときだったんですよ。友だちとは外でよく遊んでいたんですけど、造りかけのマンションとか、潰れたホテルとかによく忍び込んでいたんですよね」
「ああ、わかるな。俺も昔はそういうところに行ったりしてたよ。携帯ゲームやトレカはやってなかったのか?」
「やっている友だちもいっぱい居たけど、僕は外で遊ぶのが好きでしたね」
「健康的だな」
「あるとき、夏休みが終わって新学期が始まった頃なんですけど、授業が終わって掃除をしてたら僕のカバンが無くなってたんですよ。代わりに机の上に汚い字で『カバンは廃墟だ』ってあったんです」
「いじめ……か?」
「どうなんでしょうね? そのときはクラスでもそんなことは無かったと思います。僕が気付いていなかっただけかもしれないけど。多分どこにもいると思うんですけど、クラスで一番身体の大きなヤツが威張ってましたけど、……その程度だったんです。結局、犯人はそいつだったんですけど」
「なんか先の展開が読めてきたが、それで?」
「で、いつもの廃墟に行ったら、ホテルの部屋にカバンはちゃんとあったんです。でも、カバンだけじゃなくて、そいつと他に同級生が二人いたんですけど……。先生、解剖って知ってます?」
「ああ、知ってる。お医者さんゴッコと一緒で、子供のエッチな遊びだな。お前さんがそれをやられたと。裸にひん剥かれたと」
「ええ、まあ、そういうことです」


家庭教師の最初へ 家庭教師 5 家庭教師 7 家庭教師の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前