消えた光とかすかな光-4
「聡くん。ちゃんと彼女に言ってあげなよ。同期旅行の幹事なんて隠すことじゃないじゃん。私と大輔くんの話もしておけばよかったのに。自慢の彼女なんだから。」
もう、途中から何を言ってるのかわからなくなった。
「由梨…」
一言、そう口が動いた。
声にならない声が聞こえた。
聡の顔が青ざめて行くのがわかる。
その隣で彼女の顔も青ざめて行く。
彼女のなかで大輔くんの言葉が受け止められたのだろう。
「ごめんなさいっ!私っ!勘違いして…」
彼女が謝りながら泣き出す。
お前が泣くな!
泣きたいのは私だ!
目の前にジャケットが飛んで来た。
あったかい。
「おいおい、あんたさ。あんたが泣くのは筋違いじゃねーの??一番泣きたいのは、あんたの勝手な勘違いという、わけのわからん理由で酒をかけられたこいつだと思うんだけど。」
ジャケットを脱いだ大輔くんが私の目の前に立って彼女ちゃんに言った。
彼女ちゃんは涙は止まり、明かに怯えている。
「由梨、どうする??帰るか??」
大輔くんが振り返って聞いてくる。
こんな所にはもういたくない。
さすがに寒いし、着替えたい。
頬もいたいし、涙がでそう。
縋る目で大輔くんを見て、つい腕をつかんでしまう。
「由梨っ!」
聡がイスから立つのがわかった。
彼女がいるのに。
彼女は聡を見てる。
今ばれたら、水の泡だ。
「大丈夫よ。私は大輔くんと帰れるから心配いらないよ。雨に濡れたと思えば平気。クリーニングとか心配したんでしょ??じゃあ、今日の私と大輔くんの分奢りね!いいよね??」
最後に振り絞って聡に言う。
大輔くんを掴んでいる左腕に力が入る。
震えが止まらない。
聡は最後に力なく頷いた。