消えた光とかすかな光-3
ーあ、そういうこと。
この一瞬でわかってしまった。
女の勘ってやつかな。
この小柄な女の子は聡の彼女だ。
しかも、大切な。
だって私を庇ってもくれないし、目を逸らされた。
それが証拠になるのかな。
「おい、そこのお嬢さん。」
隣から聞いたこともない、低い声がした。
私はびっくりして、大輔くんを見る。
「な、何よ!」
さすがに女の子も怖いのか、声が震えている。
「あんたさ、俺の彼女になんてことしてくれんの??」
ーは?!
私は思い切り大輔くんを振り返る。
今まで俯いてた聡も大輔くんを見てる。
「えっ!?」
女の子もびっくりしてる。
「だから、俺の彼女になんてことしてくれたんかってきいてるんだけど。」
「この女、だって!聡と!だってさっき!この間から一緒にいるもん!だってさっきも、お店で2人で飲んでたの見たし、この間、2人が旅行店にいるの見たんだもん!」
彼女はかなり焦ってる。
「そりゃ、勘違いだな。今日は3人で飲む予定が、俺が残業になったから、先に2人で始めてもらっただけだぜ。旅行も同期の何人かで行く日帰り旅行の幹事だからな。そもそも、花火大会も一緒に行って、盆休みも一緒に過ごして、何を疑ってんだ??」
大輔くんの頭の回転の速さに、私はついていけない。
よくもまあ、そんなでっちあげを。
「それはそうだけど…でも!」
そっか、花火大会もお盆も一緒だったんだ。
私には忙しいって言ってたっけ…
彼女の言葉を遮る様に大輔くんが言う。
「聡!だいたいお前もなんか言わんか!」
「え、いや、俺は…」
みんなの視線が一斉に聡に向かう。
明らかにわかる。
泳いでいる目。
そして縋る様な目で、私を見た。
さっき反らしたくせに。
何でこんな時に…
涙がでそうだ。
もう、ここにいるのが嫌になった。