第1章 秘密-7
イヤホンからは男の荒い息と、まるで本当に犯されているような気分にさせる卑猥な言葉が流れてくる。まさか、その声の主が近所の冴えない男であり、その男が自分に善からぬことを企んでいるとは思ってもいない。
「あっ、あっ、あぁっ……あぁっ……」
座椅子からずり落ちた身体を横向きにすると、動かしやすくなった腰がいやらしく前後に振れてしまうのが止まらない。
「へへへっ、いっちゃうの?旦那以外のチンポで犯されていっちゃうのか?」
「あぁぁ〜……ごめんなさい……もう……ダメ……」
「じゃあ、ほら、このまま中に出してやるよ。奥さんの中に……」
「ダメ、ダメ……出しちゃダメ……あぁぁぁ……いくぅぅ……」
「ハァ、ハァ、ハァ……俺の濃いザーメンを奥さんの中に……」
「あぁぁぁっ……いくうぅぅぅっ……いっくうぅぅっ!」
夫とのセックスでは出したこともない声を上げ、チャットオナニーで果ててしまう由紀であった。
「ハァ、ハァ……今日は凄く興奮したぜ、奥さん」
「はぁ……はぁ……はい……私もすごく良かったです……」
よろよろと身体を起こし、姿勢を正しながら由紀も答える。
「今度会ったときは、もっと激しく奥さんを犯して上げるからよ」
「はい……こちらこそ、お願いします……」
「じゃあ、また」
「は〜い」
男が退室し、続いて由紀もサイトからログアウトした。
「はあっ〜〜……」
由紀は、深く息を吐くと、まだ余韻の残る気だるい身体を起こした。時計を見上げると11時半になろうとしていた。
スーパーに買い物に行かなくてはと思い、乱れた服装と髪を整え、仕度をする。
玄関でバックを肩に掛け、サンダルに足を通した。
その時……
インターホンが鳴った。
ピンポ〜ン……
【続く】