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恋の花名
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秋桜の季節-9

「あと石田さん、あの次の交差点のあたりで大丈夫です!ここからは歩けますので!」

「いえ、きちんと送らせてください!真っ暗なんですから!せめていつも使うバス停まで!」

「でも、ホントに私ばかり得して悪いんで。」

「じゃあ、高梨さんの番号教えてください。」


ーえ??
何て??聞き間違い??


「え?私の??携帯ですか??」

思わず聞き返す。

「はい、私は別に好きで送ってるんで損とか思ってないですけど、高梨さんが自分ばかり損してるって思うなら、私に教えてください。Give&Takeでしょう??」

そう言って石田さんは信号待ちの間に、私にご自身の携帯を差し出す。


「それに入れてください。因みに、あの交差点からどういきましょうか??」



携帯を受け取り、道を説明する。
いざ入れるとなると緊張する。
でもトントン拍子にコトが進んでいって嬉しいことに変わりはない。

そんなこんなで、あっという間に家の前まで着く。


「あ、ここで大丈夫です!番号とアドレスいれてます。ホントに色々ありがとうございました!」

お辞儀をして車をおりる。
ドアを閉めると石田さんが窓を開ける。

「私の方こそすみませんでした。無理矢理お連れしてしまって。番号もありがとうございます…」

そういうと石田さんが止まった。


ー???


「石田さん??」

「いや、失礼。ここからどう帰ろうか考えてまして。では、また明日。朝夕は冷えますので中にお入りください。今日はありがとうございました。」

「石田さんこそお気をつけて。どうもありがとうございました。お疲れ様です。」


そういうと石田さんはあの柔らかい笑顔で出発した。
会釈をして角を曲がるまで見送ったら私も家の中に向かう。

エレベーターで5階まで上る。
その中で今日のことを反芻する。

部屋に入り靴を脱ぐと一気に気が抜けてしまい、その場に座り込む。



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