秋桜の季節-8
「高梨さん、要の言ってたことは気にしないで下さいね。」
石田さんが話しかけてくれる。
「土谷さんですか??」
「連絡先とか、名刺とか。」
そっか…
冷静に考えるとドキドキしてきた。
さっきは流れで全然考えてなかったけど、これって、私用携帯を聞くチャンスになるんだ!
でもどうしよう??
「しかし、高梨さんがあんなに天然だとは思いませんでしたよ。」
「え!?私がですか??」
びっくり。
また天然って言われた。
「いつも窓口ではしっかりしていらっしゃるので、意外でした。私はいいと思いますけど。」
そんな風に見られてるなんて恥ずかしい。
褒められたのかな??
「そうですかね。私的には恥ずかしいですね。窓口でもバタバタ一人焦ってるんですよ!」
「明日、ちょうど郵便局に伺う日なので楽しみにしておきますね。高梨さんの仕事っぷり。」
ー!!!
「そんなプレッシャーかけないでください!明日、金曜日ですもんね。雨なのに来られんですか??いつも雨の日は香月さんが来られません??」
チラッと隣を見ると、私の言葉に石田さんが目を大きく開く。
「高梨さん、お見事ですね!まさに香月がいくんですけど、明日は香月が出張で、雨なんですが私が行きます。私は営業の筈なんですけどね。」
「営業も大変ですよね…私も窓口で何とかと思うんですけど、なかなか。」
「高梨さんはいつも頑張っていらっしゃいますよね。この間入り口の前でおばあさん2人が高梨さんはうちの孫みたいに可愛いって褒めてましたよ!」
石田さんに褒められまくって…
私もう今日幸せすぎてダメかも…
しかも明日も会える!
「石田さん、褒めすぎです!恥ずかしいじゃないですか!騙されてますよ!」
見慣れた街並みが見えてきた。
信号に止まる。
車で、好きな人の隣に乗って話しているとあっという間。