秋桜の季節-12
「石田さんもやめてくださいよ!」
「ははは。お姫様がお怒りなので私は後ろの仕事に戻りましょう。石田さんも雨がおさまるまでごゆっくりしていってください。なんなら、次のお客様が来るまでうちの姫君とゆっくり話していてください。」
「ではお言葉に甘えて。」
石田さんが私の前まで来る。
そのままカバンから紙を取り出しボールペンで何かを書き出す。
「石田さん??手続き終わってますので、通帳と領収書お返ししますね。」
私はカルトンに乗せてお返しする。
石田さんは通帳と領収書を手際良く直した。
「ありがとうございます。今日も雨が凄いですね。」
「ホントですね。洗濯物困りますよね。お日様が恋しくなります。」
「俺もじめじめは嫌ですね。電車とかも大変じゃないですか??」
「そうなんですよ。じめじめだし、人も多くて大変です…。」
「じゃあ高梨さん、今日、お時間あります??」
「え、仕事終わってですか??」
「はい。」
「大丈夫ですけど。」
「じゃあまたあとで。」
そう言って先ほどの紙をカルトンに乗せ、帰られる。
ーえ???
自動ドアを出られる前にあわてて挨拶をする。
「ありがとうございました。」
挨拶をして紙を開く。
ーーーーー
少しご相談があります。
仕事終わったら連絡ください。
お迎えに上がります。
ーーーーー
ーーー!?
体温が一気に上昇する。
え、何で??
とにかく気になって仕事どころじゃなくなる。
でも相談ってなんだろう…
あずささんのことだったらどうしよう。
色々考えたけど、それからはあっという間。
頭の中は『?』だらけ。
そしてついに、ついに仕事が終わってしまった。