金色の双眸-6
「で、国王からこっちに殲滅を手伝えって依頼が来たわけね」
「セブも手を焼いてるみたいでな」
2人の言葉にアースは片眉をあげる。
「宮廷魔導師のじいさん達がいるだろ?」
一応、学校も国の組織なのでアース達も宮廷魔導師なのだが、はっきり言ってお堅い城の奴らとは付き合い辛いのが本音だ。
ちなみに、魔導師の称号を持つのは現在6人で、100歳を超えるベルリアとリン、まだ25歳のアース、他は平均年齢60歳だ。
アースが魔導師資格を取ったのは23歳。
ゼビア始まって以来の最年少記録である。
「それに、騎士団にも魔法士はいるのになんでわざわざ……」
アースが騎士団にいた間、基礎から叩き込んだ魔法士がいるはずだ。
腕組みをして考えていたアースはふと思いつく。
「スネークにも魔導師クラスが居るって事か……」
宮廷魔導師達はご高齢なので現場に行くのは無理だろう。
「その通り。ついでに言うとお主に拒否権は無いからな」
スオウの言葉にアースはムッとする。
「なんでだよ」
「知らぬのか?お主が出した辞表は受理されておらんぞ?」
「は?」
「無期限謹慎になっておるだけで籍はまだ騎士団にある」
あまりの事にアースは開いた口が塞がらない。
「いったい誰が……」
「国王に決まっておるだろうが」
そりゃそうか……とアースは脱力して壁にもたれる。
「で?俺は何をすりゃいいんですか?」
騎士団モードになったアースの言葉に、ニヤリと笑ったスオウは作戦を告げる。
夜、だいぶ遅い時間にアースは帰ってきた。
ジャケットを脱ぎ、灯りも点けずにソファーにどっかりと座ったアースは、ぐてっと背もたれに体を預けて窓から覗く2つの月を眺める。
「帰ってたのか」
自分の部屋から出てきたキャラが声をかけた。
「今……な」
月を見たまま答えるアースはなんとなく元気が無さそうだ。
近づいたキャラの腰に腕を伸ばして引き寄せると、お腹辺りに顔を埋める。