金色の双眸-2
「ふぁ……コーヒー買いに行こ……」
資料室の整理という仕事を任されているのに、このままでは本を枕にして眠りそうだ。
「ほれ」
伸びたままの姿勢で止まっていたら額にコーヒーを乗せられた。
持ってきたのはアースだった。
「あ〜サンキュー」
「奢りだ。ありがたく受け取れ」
「ったり前だろ?誰のせいで眠いと思ってんだ」
「……どうぞお納めください」
反省したアースは言い方を変え、頭を軽く下げる。
「苦しゅうない」
わかればいいんだ、とキャラは笑いながらコーヒーを取る。
「今日はこれから資料室か?」
「うん。何もなければ定時で帰る」
「俺はこれで終わりだが……親父が呼んでんだよなぁ」
義理の父親、学長であるベルリアからの呼び出しがある時はロクな事がない。
「遅くなりそうなら教えてくれ」
「おぅ」
廊下に出ると2人はそれぞれの目的地へと足を向ける。
その時、キャラの前方から、何かが土煙をあげながら近づいて来た。
「アースー!!今日こそ決着をつけるぞ!!」
その何かは、ムッキムキの筋肉を持った40代ぐらいの男。
物凄い勢いでキャラの横を通り過ぎ、腕でアースの首をガッシリと抱え込んだ。
「!ぐぇっ!…おっさん!?」
いきなり後ろから襲撃されたアースは、犯人を見て驚きの声をあげる。
「さぁ!!行くぞ!」
「何処にだ!?ってか離せ!この筋肉ダルマ!!」
筋肉ダルマと呼ばれたおっさんは、はっはっはっと豪快に笑いながらアースをズルズルと引きずって行った。
「……何あれ……」
あっという間の出来事にキャラは茫然として2人の後ろ姿を眺める。
「あぁ……間に合わなかったか……」
ベルリアが珍しく息を切らしてキャラの横に立つ。
めったに走ったりしないのに何事か?!とキャラは驚いた。
「……ったく……誰が止めるんだ……」
ぶつぶつと文句を言いながら2人を追うベルリアにキャラはついて行く。