金色の双眸-18
「へぇ、凄いね。ぼくには声しか聞こえないのに」
蛇はゾロリと男の腕から離れるとキャラの足元に来た。
蛇舌をチロチロ出しながら、金色の目で舐め回すようにキャラを見る。
アースと同じ目の色なのにコイツのは好きになれそうにない。
『ほほぅ…こいつはいい……のう?主、この娘は我にくれないか?』
「どうして?」
『こいつの魔力は我らにとって力になる』
「そうなんだ。いいよ、どうせ殺しちゃうんだし、それまで楽しませてもらおうよ」
好き勝手な事を言われて蹴りの1つでも食らわしてやりたい所だが、香のせいで立っているのがやっとだ。
蛇はキャラの体に巻きつきながら這い上がり、首筋に狙いを定める。
『お主の同意があれば接触だけでもらえるのだが……』
蛇の言葉にキャラは辛辣に言い返す。
「するわけねぇだろ」
『だな』
予想通りの答えを聞いた蛇はキャラの首に噛みついた。
「っくぅ…!」
実体がないくせにしっかりと首に痛みが走り、キャラは顔をしかめる。
『同意がないなら無理やり吸い取るまでよ……』
「っ!!」
咬まれた傷口から魔力が無理やり吸い出されていく。
「ふ……うっあ……ああぁぁっ!」
頭の中で火花が散り、目の前が白く霞み、全身がガクガクと震え、汗が滴り落ちる。
キャラは壁に背中をつけたままズルズルと崩れ落ちた。
「ぁ……はぁっはぁっ……」
ある程度魔力を吸った蛇は、キャラの体から離れて実体化を試みた。
何も無かった所にじわりと蛇の姿が浮かび上がる。
体長2メートルはあるだろう体は紫色で、テラテラとぬめった質感だ。
「やあ、初めて君の姿を見たよ」
『ふむ……さすが…と言った所だな』
男は実体化した蛇に感動し、蛇は自分の姿に満足する。
「ねぇ?確かエクスタシーの時の魔力って凝縮されてるんだよねぇ?」
男はペロリと自分の唇を舐めてキャラを見る。
「試してみようか?」
男は、俯いて肩で息をしているキャラの目の前にしゃがみ込み、髪を鷲掴んで上を向かせる。
「いっ」
痛みに顔をしかめながらも男を睨みつける。