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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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金色の双眸-17

「お前ね……」

 こっちだって好きで撫でていたわけではない……

「……あんにゃろぅ……跡形もなくぶっ潰してやる……」

 アースはボソッと呟くと、騎士団に指示を出す。

「セブに使いを出せ!『少し暴れるが気にするな』と伝えろ!団長と合流してスネークを殲滅するぞ!」

 アースの指示に興奮した騎士団達は雄叫びをあげてそれぞれ馬に飛び乗る。
 目は金色のままだが、いつものアースに戻ったのを確認してひと安心。

「リンを頼む!」

「任せてくれ」

 アースはベルリアにそう言うと馬に乗って走り去って行った。


「……ぅ……」

 うっすらと開けた目に入ったのは、赤い、毛足の長い絨毯、そして、薄紫に煙る妙な香り。
 知っている匂いに口を押さえて体を起こすと軽く目眩がした。

(……?)

 何が起こったのかわからず、キャラは戸惑う。
 ふと、自分の体に目を落とすとシンプルな白いロングドレスを身につけていた。

「気が付いたかい?」

 声をかけられてそちらに目をやると、誰か……男性が近づいて来た。

「……兄…上……?」

 キャラの口から出た言葉に男性は喉を鳴らして笑う。

「残念。ぼくは君のお兄さんじゃないよ、キャラ」

「キャ……ラ…!」

 名前を呼ばれた事で一気に記憶が戻った。
 ガバッと跳ね起き、後ずさるが、体が上手く動かずふらつき、壁に背中を預ける。

(この匂いは……!)

 昔、嗅いだ事がある……興奮する患者に使われる薬草で、香にして使用すると思考と筋肉の働きを鈍くするヤツだ。
 女性用と男性用があり、今焚かれていりのは女性用。
 匂いと自分の恰好のせいで昔の記憶と混同したらしい。

「急に動くと危ないよ?」

 キャラはまだ笑っている男を睨みつける。
 そうだ、確か学校で会った……30代半ばぐらいで長い白髪を後ろに撫でつけ、目は冷たい水色、神経を逆撫でるような嫌な声。
 そして、その男の腕には紫色の蛇が巻きついていた……

「スネーク……」

 アース達が追っていた組織の名前を思い出したキャラは、思わず口に出していた。

『ほぅ……主(あるじ)よ、この娘には我が見えているようだぞ』

 話す蛇型精霊にキャラはギョッとする。


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