スタートの時-5
「そ…そうなの?」
何とも情けない顔で横にいるお菊ちゃんと貞ちゃんを同時に見つめる僕。
同時にコクって頷く二人。
んん〜ん、しかし参った。
結構ヤバめ戦いだったのに…。
本体って、アレより強いって。
腕組みをして考え込む僕。
考え込むってか…ピヨピヨになってるのが正解。
そんな僕に。
「大丈夫でござますよ…俊樹さまは菊が必ずやお守りいたしますよ」
優しく微笑んでくるお菊ちゃん。
「私だって…守ってみせる…大切なもの」
前髪を垂らした貞ちゃんの瞳、力強く輝いてる。
「俊樹さんなら…」
多くは語らない鵬蓮さんも僕に絶大の信頼を置いてるみたい。
そーだよ。
みんながいるんだ。
ピヨピヨになってる場合じゃないよね。
「そーだね!やらなきゃね!」
グッと拳を握り、弱気の虫を追い出す僕。
なんの根拠もないけど僕なら出来るそんな感じがしてきた。
いや…根拠ならあるな。
みんながいるんだものね。
「僕はやるぞぉ!」
勢いよく立ち上がろうとした僕。
だけど…。
「あらっ!?」
わっ!慣れない正座で足がビリビリだぁ!
ヨロって上手く立ち上がれない僕。
「ど…どうなされました?手傷を負われておられるですか!?」
心配げな顔で僕を支えるお菊ちゃん。
「い…いや…足が痺れちゃって」
照れ笑いを浮かべる僕。
プッ――。
吹き出す鵬蓮さん。
はぁ?
呆れる貞ちゃん。
クスッ――。
俯いて口を手で覆い笑いを堪えるお菊ちゃん。
そして…。
『あはっ!あはははははははっ!』
誰からともなく僕たちは大きな声で笑い出していた。