無銭湯記スパゲッチュー-10
第10話『労働』
こうして勇者は魔王を倒したのだった。
「ありがとうございます、勇者さま!」
勇者は、助けた王女様と幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
パチ、パチ、パチ・・・・
見ていた人達も、数人ではあったようだが、義理で拍手もしてくれる。わずかばかりのチップも集まった。
「なんだたったの12G〜ぃ」
おいおい失礼だろ! だいたい俺達の三文芝居で金を取ろうと言うこと自体、間違っている!
そう言って、俺はレイモンドの奴を叱もする。
だが、奴は全く悪びれる事も無く。
「ユグンってば、勇者の自覚なさすぎぃ! 小道具(勇者の剣)だけが立派でも、だめねー!」
お前だって、姫様って柄じゃ無いくせに、二度とこんな大道芝居なんか遣るものかっ! そう俺は自分に誓って居た。
だが、12Gはしっかりと、レイモンドのポケットの中に入れられていた。
つづく
第11話
ナイター中継延長のため、放送中止。
つづく