焔の精霊-8
翌日、学校の実技場にエンとアースの姿があった。
実技場の観客席には生徒達や講師までもが見学に来ている。
「エンは全力で、アースは攻撃禁止だからね」
ベルリアの言葉に欠伸をしていたアースが文句を言う。
「あんでだよ」
「お前が攻撃したら一瞬で終わってしまうじゃないか」
それじゃ意味がない、とベルリアは諭す。
「ちっ」
「わーい」
両手を上げて喜ぶエンの頭上で、同じように両手を上げてピョコピョコ飛び跳ねる火竜。
「はじめ!」
ベルリアの合図にエンはすぐさま魔力を発動させる。
「いっくよ〜焔舞!」
前に突き出したエンの右手から炎が渦巻いて噴出される。
アースは回り込むように横に走り、空気中の水分を自分の周りに集め、簡単な結界を作る。
「そのまま〜追撃〜」
逃げるアースを追うようにエンの左手が動いた。
指の先から火花が出たかと思うと、その火花がアースの目の前まで来る。
「!んげっ!」
アースが顔の前で腕を交差させた瞬間、火花は大爆発を起こした。
見学に来ていた観客の全員が死んだ、と思ったが煙が収まった場所にしっかりとアースは立っていた。
「っくしょ〜好き勝手やりやがって……」
「た〜の〜し〜」
こんなもんでアースがやられるワケないのを知ってるエンは、遠慮なく次々と攻撃をしかける。
「どわあっ」
アースは迫り来る炎から必死に逃げながら打開策を練る。
「どうだい?」
ベルリアの横で試合を見ていたキャラは精霊の様子を伝える。
「エンさんと同じ動きをしてるんですけど……見てて下さい……ここです」
エンが炎を噴出させると、ワンテンポ遅れてその炎が一回り大きくなる。
「多分ですけど、エンさんの魔法を増幅してるんじゃないですかね?」
だから『火』の魔法は高レベルだけど、他は普通なのだろう。
「なるほど…この会場にエン以外で精霊がくっついてるのは居る?」
「えっと……」
キャラは会場を見回して捜してみる。