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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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焔の精霊-11

「やだよ、照れるねぇ〜」

 おばちゃんはちょっと顔を赤らめて、まんざらでもない笑顔を見せる。

「んじゃボクらも移動しようか〜?」

「ですね」

 エンはおばちゃんに手を振り、キャラは頭を下げて医務室を去る。


「すまん!遅れた!講義はじめっぞ!」

 アースは教室に駆け込んで教壇に立つ。
 しかし、先程の模擬戦の興奮が冷めない生徒達は矢継ぎ早に質問してきて予定の授業が全く進まない。
 アースは予定の授業は諦めて、生徒達の質問に答える事にした。
 理由はどうあれ勉強熱心なのはいい事だ。

 魔法使い最高ランクの魔導師の授業には高レベルの魔法師も参加している。
 その魔法師の高度な質問に答えていた時……

ズズゥゥン

 ……と、建物全体が揺れた。

「なんだぁ?」

 アースは窓際に駆け寄り身を乗り出して外を見る。
 建物の1階の端っこ、談話室の窓から土煙があがっていた。

「一般生徒はここで待機!指示があるまで動くなよ!魔法師レベルは現場に行ってくれ!談話室だ!」

 アースはサクサクと指示を出すと、自分は窓から飛び降りて行った。
 風を操りふわりと着地したアースは談話室に駆け寄る。

「おいっ!大丈夫……か……」

 アースの言葉は尻すぼみになり、衝撃的な光景にかき消えていく。

 談話室の窓から見えるものはビッシリとした赤い鱗。
 どうやらその鱗の持ち主が談話室内で身動きが取れないでいるらしい。

「……なんだこりゃぁ」

 それしか言葉が出てこない。

「アースぅ〜」

 談話室の中からエンの情けない声が聞こえ、アースはサッと青ざめる。
 キャラはエンと一緒に居たはずだ。

「エン?!どうなってんだ?!キャラは?!」

 窓の隙間から中を覗くと、室内の端っこに机やら椅子が押しやられて積み重なっている光景が目に入る。
 そして、キャラを押し倒しているエンの姿も……

「……てっめぇ……何してやがんだ……」

「何ってぇ…机とか落ちてきそうなんだってば〜」

 押し倒しているのではなく、庇っていたらしい。
 よく見たら腕を床に突っ張って、必死に体を支えている。
 少しでも動けばバランスが崩れて、積み重なっている机などが落ちてきそうなのでキャラも身動きがとれない。


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