Purple ecstasy-8
―――どれくらいの時間が立ったのだろう。
ふと視線を海の方に転ずれば、太陽がオレンジ色の光を残しつつ水平線の向こうに重なろうとしている。
時計に目をやると、針は午後の5時20分をさそうとしていた。
視界の片隅では、今まで横たわっていた肢体がゆっくりと立ち上がりシートとパラソルを片付け始めている。
横たわる姿もいいが、こうして腰を曲げ、太ももや下腹部が見える姿も目の保養になる。
そんな気持ちで彼女の動きを眺めつつ、そろそろ自分も戻ろうかと砂浜から腰をあげかけた時、
「痛っ・・・・」
ラグナの耳と目に小さな声を上げてその場にうずくまろうとするルールーの姿が映った。
「おい、大丈夫か?!」
次の瞬間、ラグナはサングラスを外し彼女のいる場所まで走り寄っていた。
その場にしゃがみこむルールーの口許は痛みを我慢して歯をくいしばっている。
「立った瞬間・・・・左の足首に痛みが走って・・・」
「見てみよう、ゆっくりと足を伸ばして」
ラグナの指示でそろそろと左足を伸ばしつつ その場に腰を下ろすルールー。
実際に彼女の足首に手を添えると、
白い肌には張りがあり、 かといって固すぎてもいない程よい柔らかさが手のひらを通じて伝わってくる。
(この柔らかさは・・・・いかんいかん、何やっているんだ私は)
一瞬彼女の身体の魅力に意識がいきかけたことを反省しつつ、ラグナは改めて足首を見てみた。
白い肌に赤みがさし膨らんできている。
見たところ軽い捻挫といったところだろうか。
応急処置に持っていたタオルを引き裂き、
手近にあった木の枝を使って動かないように固定する。
応急処置の間に彼女の顔を盗み見ると、
サングラスをしたままの彼女の視線はまっすぐの方に向いている。
見つめられていることを意識してしまい、慌てて視線を逸らせてしまう。