Purple ecstasy-22
『PM1130 ヨットハーバー第4乗り場』
走り書きの下には、
ルーのものであろう唇の形が紫色の口紅をもって綺麗に押し付けられていた。
既に頭も冴えてきていたラグナはメッセージに隠されたルールーの意図を素早く読み取っていた。
次の瞬間、彼は動き出していた。
時計は1028を指している。
あと1時間。
全裸だった身体に手早く夏用のシャツとハーフパンツを身につけ、
必要なものを手早くバックに納め、
同時に旅行に持ってきていた品物全て片付ける。
そのままバック1つを持って部屋を出ると、
ロビーからエントランスそして停まっていたタクシーへと移動し、
気づけば彼はヨットハーバーに向かう車中の人になっていた。
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―――ブロロロ・・・・
タクシーに乗ってヨットハーバーへと向かう道すがら、
海水浴に来た観光客の群れや車を海岸沿いのあちらこちらで目にした。
今回ルールーと出逢い、
昨晩の情事と今日の招きがなければ、
目の前の観光客の中に埋没して苦痛を味わうか、
それとも1人きりで静かな時間を費やすかということになっていただろう。
「まさか女1人にここまで・・・私らしくないな」
今更ながらルールーという美女と出逢えた巡り合わせに感謝する。
ラグナは頭の中に、昨日肌を合わせた時のルールーの甘美な肉体を思い返していた――――
††††††††††††
―――ヨットハーバー
ヨットハーバーの入口でタクシーを降り、第4乗り場に向かいながら、ふと時計を見る。
時計は11時16分を指していた。
早めににメッセージを確認し手早く準備してホテルを出た甲斐もあってか、
どうやら時間には間に合うことができたようだ。
大小多数のヨットが林立した状態で接岸している中、幾つかのヨットに人の姿が散見され、出港準備をしているのか忙しそうに動き回っているのが分かる。