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スージの森
【家族 その他小説】

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3・探-5

「うあっ!」
「お兄ちゃん!大丈夫?!」


何もない所を歩いていていきなりつまづいた。
・・・・そろそろ、体力も限界が見えてきただろうか。まだ気力は残ってるんだけど、体の方が先に音を上げそうな気がしてきた。

もしあいつがまた姿を現したら、どうしよう。俺は一体どうしたら・・・・・・
迷いかけたその時、心配そうに見つめているフィアの顔を見つけた。
やばいやばい、また顔に出てたか。いけないな、こんなんじゃフィアを心配させるだけだ。


足を引き摺りながらも最後の出口に辿り着いた。
さあ、泣いても笑ってもここで終わりだ。何が起きても平然としていたいな。

「行こうか、フィア」
「ちょっと待って」

フィアは深呼吸をしてから、俺の手を握った。
つられて俺も深呼吸をしたら笑われてしまった。余裕はありそうだな。よし。

一歩、また一歩と出口へと近付いていく。
ドキドキしながら確かめるのもこれで最後だ。頼む・・・ここから出られます様に。

笑顔で出るんだ・・・・・・


(・・・・・・!)


・・・・当たってる。
爪先だけじゃなく、顔まで行く手を遮る感触が−

参ったな

どうしよう、フィア。
帰れなくなっちゃった。俺達もうこの森から出られない。
恐る恐るフィアの顔を見たら、瞳が潤んで今にも泣き出しそうだった。
俺も泣いてしまいそうだ。でも、お兄ちゃんが泣いたら妹は我慢出来ずに泣いてしまう。
いいや、それだけじゃない。希望も失ってしまうんだ。
笑顔を曇らせる奴は許さない。それが俺自身なら尚更・・・


『そろそろ諦めがついたか、人間のガキども』


突然頭の上に声が響いて見上げると、何もなかった。

『言ったはずだぜ?どっちか1人を喰うまでは、この森からは逃がさないってな』

今度は後ろから声が響いて振り向いたが、やっぱり何もない。

『さあ、どっちが喰われたいか僕に教えろ』

俺とフィアの前に、あの丸くて青いお化けが姿を現した。
咄嗟に、俺は口元を押さえたフィアを守る様に立ちはだかる。

「俺達をここから出せ」
『嫌だね。それはできない相談だ。せっかく捕まえた獲物をわざわざ逃がすと思うかい?』
「そんな事は聞いてない。あの見えない壁を退かせと言ってるんだ!」
『へえ・・・威勢がいいな。だけど分かっただろ?力ではどうにも出来ないとね』

悔しいが、こいつの言う通り。
いくらあの壁を叩いても蹴飛ばしても、こっちの体が痛くなるだけだ。

だからってこんな奴の餌になるつもりか・・・?

俺はもとより、フィアをそうさせるなんて以ての他だ。

しかし逃げ場を断たれたのなら、後は・・・



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