双星の魔導師-11
「……あ〜なるほど…わかった……俺は魔力提供者の自分に勝ちたかっただけかあ……」
ベルリアの言葉で気づいた。
目的を見失うほどに技巧を凝らしたセックスはそれの代表的行為。
リンに魔力提供を忘れさせる事が出来たら勝ち。
しかし、結果はリンを悦ばせるだけで、リンは絶対に魔力提供を忘れる事は無かった。
10年間引っかかっていた気持ちは、ただの子供じみた競争心。
「…馬鹿馬鹿しい…」
アースはベットに腰掛けて片手で顔を覆う。
結局、魔力抜きでも可愛がってもらいたいと駄々をこねていたのか……
なんだか無駄に時間を過ごした気がしたアースはため息をつく。
「別に魔力が無くてもお前は私たちの息子だよ」
ベルリアはポンとアースの頭を叩く。
「……わかってるよ」
苦笑しながら顔を上げたアースの表情は、意外にも晴れやかだった。
何もかも吹っ切れた様子のアースにベルリアは安心して学校へと帰る。
それからのアースは魔力提供をさぼる事なく帰って来るようになった。
しかし、その際の性行為は事務的な作業に変化したのだが、魔力がもらえれば満足なリンはそれに気づく事は無かった。