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「Wing」
【ファンタジー その他小説】

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「Wing」-4

「すごい……」
眼を覚ますと、いきなり知らない男達に囲まれていて、かなり身の危険を感じた。でも別の男の人が助けに来てくれて、
ドゴッ!

今、その人が戦っている。相手は二十人ぐらいで、しかも武器を持ってるのに、その数を素手で半分くらいまで減らしていた。
「かっこいい……」
敵に全く触れさせずに攻撃をかわし、一撃で地に平伏させている。その光景はあまりにも美しく、舞っているようにさえ見えた。





残り六人。取り敢えず真っ正面の敵の腕を取り、襟首を持って投げる。その時少し体勢を崩す。当然体勢を崩したように見せかけただけで実は絶好の体勢なのだが、相手は好機と思ったのか五人全員で掛かってくる。左手を地に着けたまま右踵を鳩尾に突き出す。突き出した足を落ろして軸にし左足で隣の男の側頭部を蹴り払う。体を起き上がらせ、回し蹴りを放ち、その勢いで裏拳を繰り出す。最後の一人には男の膝を踏み台にし、バック宙で顎を蹴り上げる。
一段落ついたので、一応女の安否を確認すると、
「はぁ……」
ため息をついている。が、安堵の為に出たものには見えない。気のせいか?
「大丈夫か?」
「あっ!!はっ、はい。大丈夫です!!」
何故か慌てたように言う。まあいい……さっさと行くとするか……
歩き出そうとすると、 「あのぉ……」
女が話し掛けてきた。 「危ないところを助けていただき、ありがとうございました! ええっと、それで、あの……」
「なんだ?」
「えっと、私はクレアと申します。失礼ですけど、あなたは?」
「レオン……」
イロイロと面倒な事になりそうなので、名前だけ言ってさっさと立ち去る。





「……」
「……」

さっきから何故か女が俺の後をついてくる……
女の方を振り返ると、
「何ですか?」
と尋ねてきた。こっちが聞きたい……
「……何故……ついてくる……?」
「私、道に迷ったみたいなんですよ。それで、あなたについて行ってるんですけど。何処へ向かってるんです?」
「さあ……」
「さあって、何にも考え無しで歩いてるの!?」
うるさいな……
「悪いか?」
「……」
顎に手を当て何かを考えてる。めんどくさい事になるなら、何処かヘ行ってくれ……
女をほって再び歩き出そうとした時、

「ねえ……街に行かない?」
いきなり何言い出すんだ?こいつは……
「レオンも目的があって歩く方が楽しいでしょ?」
急に慣れ慣れしくなったな……
「……あんた、街まで送って欲しいのか?」
「あんたじゃない! ク・レ・ア!!」
何なんだ、こいつは……
「……クレアさん、街まで送って欲しいのか?」
「さん付け……まあいいか……うん! 送ってくれる?」
行かないと言ってもついてくるんだろう……街の近くまで連れて行ってやればいいか……
「仕方ない……行くぞ……」
「やったぁ! それじゃあよろしくね、レオン」
女が隣に来て笑いかけてくる。俺は額に手を当ててため息をつく。
めんどくさい事になったな……


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