「Wing」-31
「うそ……」
暴走の理由。明日何をするか。全てを言った。「……嘘じゃない……」
そう言って見せてやった。抑えていた俺を。
「……」
言葉が出ないらしい。
「……何時か言ってただろ? 果ての地のこと……羨ましいって……」
「……うん」
ゆっくりと頷く。
「……怖いか?」
「ううん。びっくりしただけ」
「そうか……」
再び沈黙が訪れる。
「……今度は、止めないんだな」
これを破ったのも、またレオンだった。
「止めても無駄だって分かってるから。それにレオンなら大丈夫。そうでしょ?」
「……ああ」
「じゃあまた明日」
「……ああ」
遠ざかる足首を聞きながら考える。これが最後の夜になるかもな……
今日、三度目の足音が近づいて来た。
「ねえ……」
クレアだった。
「……どうした?」
顔を伏せているのでよくわからないが、弱冠先程より頬が赤い気がする。
「あの……えっと……こ、今夜は一緒に居てもいい?」
「……別に構わないが……」
何かガチャガチャやっている。
「それじゃあ失礼します」
……ん?
「……何で入ってくるんだ?」
「何でって……」
今度ははっきりとわかる。俯いた顔が赤い。
「……」
「……」
ため息が勝手に出てくる。まあいいか……
「……おやすみ」
深い闇が襲ってくる。それに逆らわず意識を落とす。ゆっくりとゆったりと。