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「Wing」
【ファンタジー その他小説】

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「Wing」-25

「……ウソ、だ……」
少年がぽつりと呟く。
「嘘でしょ?」

一人の女性が、堪え切れないといった感じで声も無く泣き崩れる。他の面々も黙って突っ立っているだけだった。いや、それしか出来なかった。
「……ねえ……ねえ!」
ハンクの肩を揺さ振る。それでも尚、何の反応も無かった。
「ねえ! おじさん! 寝てるだけだよね!? 起きてよ! ねえ!」
涙を流しながら、肩を揺すり続ける。
「……もう……やだよ……」
手が滑り落ち、そのまま床に座り込む。
窓の外では小鳥のさえずり。暖かい陽気の中、さらに熱い汐が目尻から零れ落ちる。それは床に落ち、痕を残し、やがてゆっくりと、恰も初めから存在しなかったように……消えて行った。





「……おじさん……これ、貰ってくよ……」
少年の背にはいつかの大剣があった。
「それとこれ……ずっと大切にするから……」
短剣を取り出し、墓石の前で思いを言葉にする少年。涙が一筋、頬を伝った。
「……もう、泣かないから……」
右手の甲で無造作に拭う。
「……さよなら……」
墓石に背を向け、別れの言葉を口にする。歩き出す少年の瞳の色は…………空の様に、碧かった…………


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