黒の魔導師-31
講義の時間が近づくと、残りはキャラとリンに任せて学校へ行く。
(……なんか、視線を感じる……)
学校に入ってから妙に注目されているのがわかり、居心地が悪い。
(!あっ、あれか!)
そういえば、ベルリアとのキスシーンを目撃されたんだった。
ベルリアも魔導師の称号を持っているし、2人とも結構モテるので噂の広まりも早かった事だろう。
(……にしては、なんか感じが違うな……)
そういう噂なら、好奇心の熱い目線のハズだが、なんだか冷たい視線を感じる。
(?)
講義中もその視線は突き刺さり、なんともやりにくい。
いったいどんな噂になっているのか……
気になったアースは学長室に行って、ベルリアを見た瞬間、後退りして壁に張り付いた。
ベルリアは長かった髪をバッサリと切っていた。
「今までリンが切るなってうるさかったからね」
ちょうど、学長室の前を通りかかったエンが声をかける。
「アース。
熱烈モーションをかけた学長を、手酷くフった事になってるよ。」
学校中に流れている噂の内容がわかった。
失恋のために学長は髪を切った、という事らしい。
「……ああ、そう……」
(俺が悪者扱いかよ……)
キスしたのも髪を切ったのもベルリアの独断なのに、なぜ……
いまいち、納得いかないながらも、まあ、いいか、と開き直り、次の講義のため学長室を後にした。