黒の魔導師-14
宿直室で一眠りしたアースは目を覚ますと時間を確認する。
(6時前か…)
まだ寝てるかもなぁ、と思いつつ欠伸をして起きると家に帰る。
玄関のドアを開けると、居間のソファーでキャラが丸くなって眠っていた。
寝室を使うのは気がひけたらしく、掛け布団だけ持ってきてくるまっている。
(可愛いなあ…)
アースは微笑みながら寝てるキャラを見つめる。
今までここまでしつこく可愛いと思った女は居なかったな、と思い、改めてキャラに惚れている自分を自覚する。
起こさないように頬にキスすると、アースは風呂に入る事にする。
水音に気づいたキャラはうっすらと目を開け、見慣れない天井を見ながら記憶を辿る。
「お、起きたか」
体を起こして、声がした方に振り向くと、タオルを腰に巻いて頭を拭いているアースがいた。
「……服を着ろ。」
キャラは赤くなって目をそらす。
キャラの言葉を無視したアースはそのまま台所へ行き、カップにコーヒーを注ぐ。
「砂糖とミルクは?」
「いらない。つうか、マジで服着てくれって……」
目のやり場に困る、と言うキャラに、別にいいじゃねぇか、とアースは返しながらコーヒーを手渡す。
キャラはコーヒーを受け取りカップに口をつける。
「疲れはとれたか?」
「え?あ、うん。かなり休めた。ありがとう」
キャラは答えるが決してアースの方を向こうとしない。
これ以上からかっても面白くないので、アースは寝室に行って服を着る事にする。
寝室に向かうアースの後ろ姿をキャラはじーっと観察する。
魔導師のイメージとしては『青白くて引きこもり』なのだが、アースには無駄な肉が無く引き締まった体をしているし、日に焼けて健康的だ。
そういえば、剣さばきも見事だったなぁ、とキャラは思い出す。
背中にキャラの視線を感じたアースは振り向いて
「なんだ?全部脱ごうか?」
と、腰のタオルに手をやる。
慌てたキャラは頭をぶんぶん横に振って目をそらす。
おかしそうに喉を鳴らして笑いながらアースは寝室に入る。
(うぅ…何やってんだ、オレは…)
火照った顔に手を当てて冷やしながらキャラは困惑する。
服を着たアースは戻ってくると、自分のコーヒーを取って壁にもたれた。
「さてと、どうすればお前の同意を得られる?」
突然のアースの言葉にキャラはキョトンと首を傾げる。
「同意がないとキスも出来ないんだろ?
ぶっちゃけ、今すぐにでも押し倒したい所を我慢してるんだ。
だから、どうすればお前の同意とやらが得られるのか聞いてる。」
あまりにストレートなアースの言葉にキャラはドキリとする。