〈美味なる者〉-2
『と、とりあえずコイツに決めた』
オヤジは一人の少女のデータを書き取ると、その携帯電話を元のポケットに入れた。
長髪男の自慢のデータの隠し場所をオヤジ達は知っている。
もし今、盗み取りがバレてしまったら、それこそ元も子も無い。
何も焦る必要はないのだ。
『……へ…へへ、おい豚!タダ飯喰らってキモチ良い思いして、イイ身分だなあ?』
新しい獲物の情報を得て、オヤジ達は上機嫌だった。
いつも上から目線で話す“いけ好かない”長髪男が目を付けていた美少女を出し抜いた喜びも加わり、オヤジ達は有頂天だった。
汗や頭皮の脂でベタベタな萌の髪を掴み、罵りながら幼器と肛門に肉棒を突き刺しては乱暴に突いて果てた。
『へ……ケツの肉が痙攣してるぞ』
『汚えなあ、豚は豚か……』
萌を姦し終えたオヤジ達は、部屋を後にした。
長髪男への小さな反逆を企てた数人のオヤジ達が消えた部屋の中では、何も知らぬ男達が萌の身体を貪りに掛かっていた……。
寒風の吹きすさぶ、古ぼけた団地の一角の古い二階建ての家に、オヤジ達は集まっていた。
手に入れたデータの中身、長髪男から盗んだ美少女の事を調べる為と、これからの行動を話す為に、むさ苦しいオヤジ達が顔を付き合わせていた。
『コイツか、次の獲物は……』
適当に書き取ったデータの主を、オヤジ達は今知った。
名前を携帯サイトで調べると、生年月日や身長が一致した美少女があぶり出された。
それは売り出し中のアイドルグループの中の一人だった。
葉山紗季・14才。
小さい頃からアイドルに憧れ、アイドルグループのバックダンサーの仕事を経て、遂に自分もアイドルとしてデビューを飾ったのだった。
紗季の所属するグループは、CDセールスとミリオンセラーがイコールとなっているモンスターアイドルグループの影に隠れてはいたが、それでも着実にファンは増えていた。
メディアの露出も、その認知度も、日に日に増していく成長株のアイドル……オヤジ達が歓喜したのは言うまでもない。
『この娘なら知ってますよ!』
『私もこの娘には“お世話”になってますよぉ!』
ショートカットの黒髪、クリクリとよく動く瞳、小さな鼻、薄い唇から覗く八重歯、小麦色の肌はしっとりと肉が付き、子供然としていながらも微妙な色気を漂わせている。
同じグループの他の娘に比べ、地味な顔立ちの紗季だが、それが却って男など知らぬ純朴さを強めていた。