ペナルティ・ゲーム2-1
あの日以来、康太は性の快感に目覚めてしまった。それまで週2回程だった自慰行為も、今ではすっかり毎日の日課となっている。まだまだ若い肉体は、時には1度の射精で収まらず、1日に2度、3度と放つ事も珍しくなくなっていた。しかしどうしても、あの日以上の快感を得る事はできなかった。
あの屈辱の『罰ゲーム』での快感…。家庭教師との秘密の時間…。
あの日、康太は恵理の眼前で自慰をして見せ、射精までしてしまった。さらにその後は恵理の手によって、文字通り、搾り取られてしまった。あの時、康太は自分が何度射精したのか、正確には覚えていない。おそらく5〜6回だったと思うが、そんな事はどうでもよくなってしまう程の気持ちよさだったのだ。
白く細長い指を備えた両手だけの行為で、康太は何度もイかされた。性器だけでなく、アナルや乳首、その他全身をくまなく愛撫されたとは言え、康太をそこまで興奮させたものは何か。それは言葉では言い表せない、恵理の魅力―。あの瞳に見つめられると、決して抗えない、不思議な力を感じてしまう。恵理に見られたい―。康太は無意識の内にそれを望んでいたのかも知れない。
あの『罰ゲーム』が行われてからも、もちろん恵理の授業は続けられている。康太はあれ以来、恵理の顔もまともに見られないでいるが、恵理はと言えば、何事もなかったかのように、今まで通りに授業をこなしている。あの日の事は一言も口にしない。康太にとってはそれが不思議でならなかった。
(あんな恥ずかしいコトがあったのに…。なんであんなに普通にしてられるんだ?)
恵理の性格ならば、あの時の康太の恥ずかしい様子を口にして、康太をからかったりしそうなものなのだが、そんな素振りはおくびにも出さない。康太はそんな恵理の態度に安心しつつも、一方では何か焦らされているような気持ちも持っていた。そして、そんな状態が続くうちに、康太の心理にも少しずつ変化が現れてきた。
(なんで先生は何も言わないんだ?あの時の事…。忘れた…?あんなコト、忘れる筈がない!あんなに気持ちいい事、忘れられる訳ないよ…。また、して欲しい…。)
いつしか康太は『罰ゲーム』を完全に望むようになっていた。
2学期も半ばにさしかかり、中間テストが近くなった頃、康太は思い切って恵理に提案をした。
「先生、あのさぁ…。」
「ん?何?どうしたの?」
「今度、中間テストがあるじゃん?」
「そうね。頑張ってよ〜。お母さまが、結果次第で私の時給を見直してもいいって言って下さってるんだから!」
「もちろん頑張るよ!それでさぁ…。ちょっと相談なんだけど…。」
「ん〜?何よ?」
「…その、結果によっては…ご、ご褒美を…頂けないかな…と…。」
恵理の表情が一瞬、真顔になった。2秒程の間をおいてから、彼女は吹き出して笑い出した。
「アハハッ!もしかしてそれって、この前のリベンジって事?あんな目に遭ったのに懲りてないのぉ?」
「えっ…いや、今度は絶対…。」
「それとも、お仕置きがクセになっちゃったとか?」
恵理がテーブルに肘をつき、上目遣いに言い放った言葉に、康太は動揺した。まさに図星だったから。