ペナルティ・ゲーム2-3
試験まではあっという間で、さすがに康太も勉強した。時々襲ってくる性の欲望にもなんとか耐えぬき、康太としては最高の状態で試験を終えた。手応えは十分だった。あとは神のみぞ知るところである。
康太は試験を終えた直後、何気なく鈴木 静香の方に視線を向けた。すると、偶然にも彼女と眼があった。お互いに気まずくて、すぐに目線を逸らしたが、康太は何故か彼女の表情にドキリとした。今まで気付かなかったが、彼女はとても清楚な顔立ちで、可愛らしい女子であった。
康太はこの試験期間中、良くも悪くも彼女を意識して過ごした。だから先ほどのように目があってしまう事は何度かあったのだが、ある意味で『敵』であった彼女に対しては恋心など無い筈だった。
しかし試験を終え、改めて彼女を気にかけてみると、今までにはない感情が芽生えてきた。
(あいつ、良く見ると可愛いな。付き合ってる人とかいるのかな…?)
康太は明らかに彼女の事を意識し始めていた。
そして。
試験の答案が返ってくる日がやってきた。
結果は…。
95点!
「オオッ!」
康太は思わず声をあげた。周りの友人達も康太の変貌ぶりに驚愕した。康太はカンニング疑惑を否定するのに苦労した。担任にも誉められた。
「高橋、すごいじゃないか!他の教科はともかく…。」
「あ、ありがとうございます。家庭教師に来てもらってるんで。」
「そうか、良い家庭教師に巡り会えたようだな。これなら次回はクラスで、いや学年トップも夢じゃないぞ。次も期待してるよ。」
「ありがとうございますっ…!って…!せ、先生!次回は、って…!?」
「んっ?だから、この調子で頑張れば、次はトップになれるかもよって事だよ?」
「そ、それじゃあ、今回のクラスのトップは…!?」
「あぁ、いつも通り鈴木だよ。98点。あ、個人情報もらしちまった…。ゴメンな鈴木。」
「いえ、大丈夫です…。」
鈴木 静香は余裕の表情で答えた。
(ガーン!)
康太は顔面蒼白で立ち尽くしていた。
「鈴木のトップより、お前の95点の方が、インパクトあったぞ。また頑張ってな!」
「はぁ…。インパクトだけ勝ってもしょうがないっす…。」
かくして、康太の『ペナルティ・ゲーム2nd stage』は幕を開けた。