EP.6「おめでと。ホントに、おめでとう」-6
「んっ!」
「ぷはっ・・・こら、やめろこの変態。やりすぎ」
「だって姉ちゃん、全然抵抗しなかったから・・・いいのかなって思って」
信之介とは思えない言葉だった。
多分、興奮してるから乱暴な態度なのかもしれない。
この野郎、ただの思い付きじゃないな。いつも後をついてくるだけだった奴が、こんなになるなんておかしい。
少なくとも私とやるのを前から狙ってたはずだ。
私はちょっと前に思い立ったけど、こいつはいつからいやらしい事を考えてたんだろ・・・
やっぱり思考が同じなんだね、私と信之介は。
でも、私は考え付いたらあまり悩まないですぐやる方だから、こいつとは正反対だけど。
「いいよって言ったじゃねえか、姉ちゃん。今更やだなんて駄目だからな」
「どんだけやりたいんだよこの変態。ばーぁか」
「お、おいっ!」
全く、相手が痛がってんのが分かんないのかなこの馬鹿は。
仕方ない、優しいお姉様が分かりやすい様に教えてあげましょう。
私は信之介を抱き締めて、耳元に唇を重ねた。
「あ・・・や、やめろよ、くすぐったいって」
「こういう時はね、もっと優しくすんの。分かった?」
あやされる様に言われたのが気に入らないのか、信之介は唇を曲げて口答えしてきた。
「姉ちゃんよりは知ってるよ!!」
「どういう意味だよ」
すると、信之介は口を半開きにしたまま目を泳がせながら、慌てている。
私より知ってる・・・ってつまり、まさか・・・
そっか、そうなんだ。
先を越されたのは正直姉としては悔しいけど、それ以上に嬉しかったりする。
信之介だってやる時はやるんだよね。それが分かったからかな、嬉しいのは。
じゃあ別に私が教える事は無いよね。いくら知識を身に付けようが、エッチに関しては経験してる方が強いんだから。
前に電話した時の不機嫌な理由が分かった。
いいの、そういう事にしとく。弟よ、姉ちゃんは祝福するぞ。
信之介の口から聞いたら素直に祝えないよ、私は捻くれた嫌な奴だからね。
ずっとお前を押さえ付けて来たんだから、こんな時に笑ってやれなくてどうする。
私に何を言われるか怯えている信之介の頭を撫でてやった。
「おめでと。ホントに、おめでとう」
「へ?めでたいって何が」
信之介はぽかんとしていたがそれ以上は語らず、今度は私からキスをした。
舌に粘っこく纏わりついた唾液を舌先で拭いながら、口で愛撫していく。
「んっ、ふぁ・・・・ぁあ」
唇の隙間から信之介の吐息と一緒に、微かに喘ぎ声が漏れる。
さっきはあまり実感無かったけど、弟とやらしい事をしてるんだね、私。