EP.6「おめでと。ホントに、おめでとう」-4
(・・・・・・?!)
その時、姉ちゃんの目が開いた。
寝呆けて狭く開いてる目蓋の中に揺らめいている黒目が、俺の姿を捉える。
「・・・っ?!」
すると、短く強い呼吸と共にその重い目蓋が開かれた。
やっ、やばい、起きちゃった。どうしよう。絶対叩かれる。
だって寝起きに弟が隣に座ってたんだし、俺が姉ちゃんの立場だったら許さないよ。
今更後悔したって遅いよな。姉ちゃん、許して。
・・・でも、俺の身勝手な心配をよそに、姉ちゃんは横たわったままだった。
何を話したらいいのか分からず、姉ちゃんの顔を見たまま固まってしまった。
これじゃ明らかに夜這いに来たみたいで物凄く気まずい。
いや、実はそうなんだけど・・・・・
匂いを嗅ぎたいってのはつまり、姉ちゃんの危ない部分を好きにしたいっていう意味だ。
相手がいるのにそんな不純な思いだけで帰ってきたのだから、俺もついにおかしくなってしまったらしい。
なのに、相手が起きたらこうして頭が真っ白になっている。
(姉ちゃん、絶対怒ってるよな。いつ飛び上がってきてもおかしくないぞ)
そうなる前に何とかしなくてはいけない。
なんて思ってるけど、心臓が破裂しそうな程速く脈打って呼吸すらうまく出来なかった。
妄想では何度もいやらしい姿にさせたくせに、いざ目の前にいたら指を咥える事すら出来ないなんて・・・!
「・・・・・したいの、信之介?」
すると、姉ちゃんがぽつりと口を開いた。
・・・したいのってどういう事だ。それってつまり、ね、姉ちゃんはそういう事を考えてるのか?
「・・・・・いいよ。おいで・・・ほら」
姉ちゃんの伸ばした手が俺の腕に触れた。
その熱さに思わず息を飲み、興奮してるのが伝わってきた。
引き込まれそうになったので思わず抵抗しようとしたら、簡単に姉ちゃんの手が解けた。
「そのつもりじゃないの?」
「・・・ね、姉ちゃん」
「だから私の部屋に来たんでしょ。信之介も、もうそういう歳だよね。姉ちゃんを相手として見てるんだ」
「・・・・・・・・・」
ここで断ったら、もう2度と出来ない。
姉ちゃんは覚悟してるんだ。だったらやってやる。例え、もう後には退けなくなっても−