EP.6「おめでと。ホントに、おめでとう」-3
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そして、ようやく帰ってきた。
父ちゃんはまだ仕事だけど大晦日で仕事納めらしい。
だから、今家にいる男は俺だけだ。
「また背伸びたわね信之介」
「それずっと言ってないか。夏休みから伸びてないと思うんだけど」
「ちょっと伸びたわよ、絶対。身長測るから立ちなさい」
「後にしてくれよ・・・」
姉ちゃんと話したいんだけど、俺が帰って来る前から昼寝してるらしい。
もうとっくに日が暮れてるのにいつまで寝てるんだろう。
「姉ちゃん降りてこないな、いつもこんなに遅くまで寝てたっけ?」
「・・・照れてるのよ、あんたに会うの」
「お、俺に?!何でだよ、そんな事姉ちゃん言ってたのか?!」
「あの子がいうわけないでしょ、冗談よ」
くそっ、母ちゃんの馬鹿。
ついつい本気にしちゃったじゃないか、ああ恥ずかしい。
「でも帰ってきたら何て話そう、とは言ってたわよ。珍しいわよね、あの子があんたとどう接するか迷うなんて」
・・・これは本当っぽい。
電話が全然無かったのはもしかして話すのを迷ってたからだったのか。
あの姉ちゃんに限って、と思ったがその話を聞くと本当だな。
じゃあ・・・姉ちゃんと上手く話せないかもしれない。
それでもいい。
ただ、姉ちゃんに会えれば良かった。そのために帰ってきたんだよ、俺は。
「ご馳走様。ちょっと部屋に戻るよ」
「もう寝るの、お風呂には入らないの」
「まだ寝ないよ、後で・・・」
姉ちゃんが出てこないならこっちから行くしか無い。
俺は深呼吸をしながら階段を上がっていき、姉ちゃんの部屋の前に立った。
そういや、俺が姉ちゃんの部屋に入るのって初めてか?
ちょうど去年の今ごろいきなり部屋に入られたんだ。仕返しも兼ねて、入ってやる。
そっとドアを開けたが、姉ちゃんの反応が無い。
中を覗いてみると、ベッドの上で体を横たわらせて寝ていた。
(うわあ・・・へ、臍、出てる・・・)
トレーナーが捲れて、真っ白いお腹と可愛い臍が丸見えになっている。
思わず部屋に入り込んでしまい、ドアを閉めた。
ま、まずい、踏み込んじまったぞ、そのつもりだったとはいえ一体何をしてるんだ。
でも、姉ちゃんの匂いを嗅ぎたい・・・
(起きないよな・・・?)
そっとベッドに腰を下ろして、姉ちゃんに寄り添う。
やばい、まじで可愛い寝顔だ。唇とか、凄く柔らかいんだろうな・・・
久々に見る姉ちゃんの寝顔にすっかり見惚れてしまい、にやつきながら見ていた。
こんな所もし見られたら姉ちゃん何ていうかな。キモい、って頭を叩いてくるだろうか。