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ZERO
【ファンタジー その他小説】

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ZERO-4

☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「まあサイズはだいたい合ってるみたいね」
「いやぁ面目ない」
彼女が出してくれたツナギは、身長178センチの俺でも少し大きいくらいだ。まあ、ほとんど裸同然の格好よりはよっぽどましだ。
「ねぇ、あんたの名前聞いてなかったね」
「あぁ、俺の名前は羽田 雄飛(ハネダユウヒ)だよ。歳は25。君は?」
「私は千歳 都(チトセミヤコ)。レディに歳は訊くもんじゃないべさ」
「あぁ、そうゆう意味じゃな…」
「さっ、あの子をしまうから手伝って」
ワビ入れてるんだから聞けよ!
「…あの子?」
「そう。私のゼロ戦」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

格納庫内の家から出るとそこにはゼロ戦がたたずんでいる。まるで60年も前にタイムスリップしたみたいだ。
ゼロ戦…零式艦上戦闘機は第二次大戦中に活躍した旧日本海軍の主力戦闘機だ。戦争末期にかけてアメリカ機は格段に進化したが、それでもゼロ戦の旋回力には及ばなかったといわれるくらい素晴らしい機動力を持つ。その技術は今なお、日本のテクノロジーを根底で支えていると言っても過言ではない。
「すごいな…ゼロ戦なんてはじめて見たよ」
「なに言ってるのさ。いっぱい飛んでるわよ」

「へっ?」
「この辺の人は大体みんなゼロ戦なのよ」
なんだか彼女の機嫌を害したらしい。
しかし頭がこんがらがってきた…。みんな持ってる?自家用機を?しかもゼロ戦?
「な、何で?まわり金持ちだらけなの?」
今の時代、億単位の金がなけりゃこんな物が持てるわけがないんだが…。
「失礼ね!ゼロ戦なんてどうせ貧乏人の持物よ!」
そう言うと彼女は怒って背を向けてしまった。
「あの〜千歳さん?話がかみ合ってないんですけど…」
「都でいいわよ」
彼女はイヌかネコでも撫でるようにゼロ戦の翼を触っている。
「え〜と都さん。何でゼロ戦が貧乏人の持物なんでしょ?」
俺がそう言うと彼女は不思議そうな顔をこちらに向けた。
「えっ?イヤミで言ったんでないの?」
?????????


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